2023年 コープあいち通信12月号
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5SXは、GXとDXという2つのエンジンがあります。GXは単に温室効果ガスの環境技術の革新や企業の排出削減活動ではなく、脱炭素社会に向けて産業構造の根本的変革が起きることです。DXは単なる企業のデジタル活用の業務改善の動きではなく、社会の在り方や産業の在り方の歴史的転換を起こすものです。人的資本の戦略的強化など、企業は今、どう戦略的に考え行動し、どこに投資すべきかをSDGsを羅針盤にSXに取り組むときです。63企業は、SDGsに取り組まないと事業継続できないリスクがあり、取り組むことで成長可能性の機会が得られます。モビリティ産業ではEVや車のソフト化が拡大しています。SDGsはサスティナビリティに向けて構造改革を求めています。2030年の社会を想像したときにコープあいちは必要とされているかどうかです。今や社会と企業のサスティナビリティは同期化し、SXの実現が必要です。企業には、パーパス(存在意義)を明確にした価値創造ストーリーが求められています。13戸となり成 司しろう朗さん グレートリセットSDGsはよりよい世界をめざす上で2030年のあるべき姿を書いたものです。人類・企業・行政はどうするべきか具体的なアクションプランを示す未来への羅針盤といえます。気候危機と格差危機を背景に、カーボンニュートラルや持続可能な資本主義への転換期となりました。ESG経営は、サプライチェーン全体で環境問題、人権問題、労働環境など調査し情報開示を求めます。私はこれを「顧客よし、調達取引先よし、株主よし、社会よし、社員よし、地球よし、会社よし、未来よし」の八方よしと呼んでいます。2持続可能な資本主義は、株主・投資家中心から市民中心の資本主義へ転換することです。SDGsは社会の在り方を根本的に変えることを求めています。日本は変化を好みませんが、欧州は市民の圧力で変わりました。欧州市民の危機感は深刻で、企業はその意識変化に対応しないと不買運動など存続が危ぶまれます。新自由主義から新しい資本主義へ、「人への投資」、「科学技術・イノベーションへの投資」、「スタートアップへの投資」、「GX(グリーン・トランスフォーメーション)およびDX(デジタル・トランスフォーメーション)への投資」など無形資本への投資と分配による成長が試されます。SDGsを羅針盤に日本を再生しサスティナブル経営持続可能な社会を考えるSDGsを羅針盤に企業はSX(サスティナビリティ・トランスフォーメーション)に取り組むべきわが社はどこに向かうかSDGsを羅針盤に共感される4「パーパス」と実現するケイパビリティを考えるパーパスは日本的には志といえます。われわれはどのような価値を社会に提供することで貢献するのか、何を持って「コアコンピタンス」を生み出すのか、どうやって「ケイパビリティ」を実現するのか。まずは、競合他社と違う誇れる技術。ノウハウ(知的資本)は何なのか、従業員が生きがいや働きがいを持って、生き生きと働くためにどう(人的資本)を強化するのか。また、SXは、地球環境との共生といった自然資本や地域ネットワークづくりなど、社会感度が高くファンの多い社会関係資本の強化も求めています。SXを企業戦略にしどのように実行するかSDGsの好事例として、「意味がある」にこだわった戦略・出店のオンライン直売所、アパレルメーカーの売れ残り商品を安値で引き取り、あらたなタグ付け(価値の交換)で販売、スマホで個人の健康管理ができるウェルネストイレ(便座販売とスマホアプリで継続課金)など、モノとコトが融合して価値が変わるという事例があります。7コープあいちを好機とリスクで考察するコープあいちの好機として、消費者の求めるバリュー(付加価値)の変化は追い風です。われわれの求めてきた世界がいよいよメインストリームになりつつあります。固定ファンに宅配するオペレーションも強みです。リスクとして、店舗がスーパーとの生き残り競争に入ります。熱烈なファンがいるコープあいちですが、地域での戦いに巻き込まれるとコープがコープでなくなります。オペレーションの要である情報システムとロジスティクスが東海コープであることも課題です。実は東海コープは生命線です。8Well-beingとSDGsは密接な関連性が見られます。人も企業も新たな成長軸にすべての人と社会が幸福と充実を実感できる持続可能な豊かさの追求を置くことです。日本人は幸せでしょうか。幸福度はG7で最下位です。文明的豊かさを求める生活から文化的豊かさを求める生活へ世界は変わろうとしています。今日は企業のパーパスと言ってきましたが、その前に自分のパーパスを決めることです。自分はなぜ生まれてきたか、何をするために生まれてきたのか、自分は何をしたいのか、自分の志は何なのかを決めることです。そうすることで会社の中での自分の人生から自分の人生における会社の意義に変わります。あるべき姿を明確化してSDGsを羅針盤にパーパスを決め、経営戦略に落とし込み、SDGs宣言を社内の総意で徹底するときです。今、企業は大きな分かれ道です。持続的成長か消滅かという世界の転換期です。今こそ原点、今こそ未来を考えるときです。一般社団法人中部SDGs推進センター 代表理事(株)西友副社長、住友理工(株)CSR部長、アドバイザー担当、特定非営利活動法人中部プロボノセンター共同代表理事など歴任。2022年6月よりコープあいち有識者理事。有識者理事とは学識者や弁護士、会計士などの専門家として、社会的な 視野からの意見を生協の運営に反映させ、生協の日常的な業務執行の状況についても専門家の立場から監督します。新たなバリュー(付加価値)を提供する好事例結びにあたり有識者理事から学ぶ専門分野から2030年のビジョンを踏まえて、コープに期待することや情報をご提言いただきます。SDGsを羅針盤に企業の持続可能戦略を考える~パーパスを起点にSXに取り組む~SDGsの本質は何であるか、現在の社会の延長には未来は無いということです。

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