吉よしだ田 美みか加さん 現在北医療生協で生協わかばの里介護老人保健施設副施設長、在宅介護サービス事務長。2024年6月よりコープあいち有識者理事。有識者理事とは学識者や弁護士、会計士などの専門家として、社会的な 視野からの意見を生協の運営に反映させ、生協の日常的な業務執行の状況についても専門家の立場から監督します。最後に私の好きな言葉を紹介します。自立するというのは依存しないことではありません。たくさんのものに少しずつ依存できるようになることです。必要なところに必要なことを聞ける、そして「助けて」を言ってもらえるコープあいちであり続けてほしいと思います。135一人ぐらしの親が倒れたとき あなたはどうしますか?このようなときは強いストレス状態となり、平常時とは異なる行動をとってしまうことがよくあります。しかしイメージを持っていれば慌てないで済みます。順を追って整理しましょう。①独居なので介護保険証・健康保険証など貴重品のある場所の把握をしておく。②病院に運ばれて急性期を脱するのに1~2週間必要。まずは慌てないこと。③急性期病院の後は回復期病棟やリハビリ病院(60日間)などで回復期を過ごすこともある。この期間に今後の生活方針を決め、必要な場合は介護保険の申請をする。④その後生活期に入る。自宅で過ごせるのか、施設に入るのかを決める。⑤介護保険サービスの手続きをする。⑥介護保険サービスはいつから受けられるのか。⑦介護保険サービスはいくらかかるのか。⑧いつまで自宅での生活が可能か。このような流れを自分事としてイメージを持っておくことが大事です。2慌てないための準備はできていますか?介護も最初は初めてのことばかり、慌てないために平常時に学んでおくことはとても大切です。「学んだ」と言うためには「行動」が必要です。学びによって知識は入りますが、そこからさらに認識を変えて行動を変えること、それでようやく「学び」が「学んだ」になるのです。病気や介護制度、保険などの知識があれば計画ができます。今日にでも自分が行動を変える何か一つを見つけてほしいと思います。また、人は自分が支える側と思っているものですが、一瞬にして支えられる側になることが誰にでも起こりえます。人のライフサイクルにおいて、生命力が脆弱な部分を、コープあいちが子育て支援や介護予防、介護生活支援などでつながることで、組合員の生涯にわたって生協がかかわるのだと思います。支えられる側という立場の変換も含め考えてほしいと思います。コープあいちの総合力って何?総合力とは、コープあいちを通して地域の人たちがどうつながるかということですが、実はそれが見えにくいと感じています。私の職場の場合、医療と介護を地域での取り組みにつなげているかと問われると、全然違うところにつなげていることがあります。ケアマネジャーのプランが北医療生協の取り組みにつながっていないのです。この「職員が自分たちの取り組みを知らない」というのは、どんな組織にもみられる現実です。生協には「食」を中心とした強みはありますが、そこでは「福祉」をどうやってイメージしているのでしょうか。総合力とはたくさんのことをいろいろやることではないと思います。点がたくさんある状態がいいのではなく、それぞれが線でどうつながるかがずっと課題だと思っています。「食」は一生かかわれますが、「福祉」はかかわりが短い場合も多く、それが弱さになります。総合力を鎖に例えると、同じ強さの輪がつながっていると強度がでますが、そこに弱い輪があると鎖全体は弱くなってしまいます。その鎖の弱い部分が福祉だと感じています。4得意な掛け算を生かして総合力強化を例えば「食」×「物流」=「宅配」。コープあいちの強みと強みを掛け合わせて、さらなる強みにしているイメージがあります。総合力を高めるためには、鎖の弱い部分を強くする努力が必要であり、そのためには知識を高めて学び続けることが大切です。年に1回福祉の話を聞くということではなく、日頃から身近に福祉を学んで総合力を高めてほしいと思います。有識者理事から学ぶ専門分野から2030年のビジョンを踏まえて、コープに期待することや情報をご提言いただきます。「学び×つなぐ=総合力アップ」私は10年間を看護で、その後30年間は介護事業に携わってきたので、現場からの視点で話をしたいと思います。ポイントは、一人ひとりが介護制度について具体的にイメージできることと、コープあいちの総合力のイメージを膨らませることです。
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