ウィズコープ8月号 2025年 vol.326
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事件数(件)072文字目のキーワード化学物質(図1・2とも厚生労働省食中毒統計資料より作成)細菌ウイルス6050403020101月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月自然毒6%不明 0.3%その他 1%1%細菌31%食中毒事件数1,037件寄生虫34%ウイルス27%はじっこクイズ寄生虫化学物質自然毒※https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/dl/point0709.pdf名古屋市立大学薬学研究科博士後期課程を修了されたのち、名古屋市衛生研究所に入所。生活環境部長、食品部長を務められたのち、2019年4月から名古屋女子大学健康科学部健康栄養学科教授に就任され、2025年3月に退職。専門は食品衛生学。所属学会は日本食品衛生学会、日本マイコトキシン学会など。図1 月別食中毒発生状況(事件数:2022〜2024年の平均)図2 2024年(令和6年)病因物質別食中毒事件東海コープ商品検査センター詳しい検査内容は6月度の検査検体数(合計861)【報告日】2025/5/21〜2025/6/20微生物780残留農薬70ヒスタミン11検 索東海コープ 検査センターhttps://www2.tcoop.or.jp/安全で確かな品質のコープ商品をお届けするため、科学的なデータでバックアップするのが商品検査センターの役割です。中島 正博(なかじま まさひろ)さん薬学博士。前名古屋女子大学 健康科学部 健康栄養学科 教授。今月のテーマ夏は食中毒に要注意?「食についてもっと知りたい!」という声にお応えします。知らなかった食の知識をあなたの日々のくらしにプラス!コープを利用しているからこそ、一緒に考えてみませんか。博物館明治村がある愛知県の市はどこ? > > ●○○○市(1文字目)検査センターだより食中毒に季節性が? 図1に、2022年から2024年の3年間における月別食中毒事件数を示しました。食中毒を引き起こす病因物質は、細菌、ウイルス、寄生虫、自然毒、化学物質、不明およびその他の7種類に大別されます(ここでは不明およびその他を除いています)。 細菌性食中毒は6月から10月、ウイルス性食中毒(主にノロウイルス)は12月から3月、自然毒は、フグ毒や貝毒などの動物性と、毒キノコや有毒植物を誤食して発生する植物性がありますが、それらの収穫時期である春や秋に多く発生するなど、食中毒に季節性があることが分かります。一方、寄生虫(主にアニサキス)による食中毒は年間を通じて多発しており、食中毒事件数としては細菌性やウイルス性を抑えて近年1位となっています(図2)。化学物質による食中毒の多くはヒスタミンによるもので、マグロやサバなどの赤身の魚を常温に放置するなど、不適切な温度管理により発生するものです。このように、近年は一年中食中毒に注意が必要となります。夏はやはり細菌性食中毒に要注意! 暑い夏の時期に注意しなければならないのは、やはり細菌性食中毒です。最近は秋季でも夏日が続くことが多くなり、10月ごろまでは要注意ですね。細菌性食中毒の原因菌の1位はカンピロバクターで、この傾向は近年まったく変わらず、主に鶏肉の生や加熱不十分な肉、レバ刺しなどの内臓肉で発症します。本菌による食中毒は重症化することがあり、ギランバレー症候群という神経性の障害も発生する可能性があるため特に注意が必要です。生肉や肉の断面に赤みが残っているような肉は決して口にしないことが大切です。 細菌性食中毒予防で大事なことは、みなさんご存知のとおり、食中毒細菌を「つけない、増やさない、やっつける」です。手洗い、食品の十分な加熱や、使用した調理器具の消毒はもちろんのこと、暑いこの時期に家庭で特に気を付けることは「増やさない」です。すぐ食べない料理は冷蔵庫で保管、お弁当は詰めるごはんやおかずが冷めてからふたをする、汁気の少ないおかずを選ぶ、保冷剤などを用いてお弁当を冷やすなどが注意点となります。 食中毒予防のためのポイントはまだまだあります。興味のある方は厚生労働省が作成しているリーフレット※などをご参照ください。食中毒に気を付けて、暑い夏を元気に過ごしましょう。年々暑さが増しているように感じる夏、夏バテや熱中症予防対策だけでなく、食中毒を心配する方々も多いのではないでしょうか?夏の気温や湿度は、食中毒を引き起こす細菌が増殖する絶好の環境で、毎年多くの細菌性食中毒がこの夏期に発生しています。一方、冬期にはノロウイルスによる食中毒が多数発生しているなど、近年は年間を通じて食中毒に気を付ける必要があります。

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