ウィズコープ25年10月号
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98765432104文字目のキーワード 図に令和4年から6年の3年間における植物性自然毒中毒の発生状況を示しました。キノコは真菌で植物ではありませんが、日本では毒キノコによる食中毒は植物性自然毒に分類されています。植物性自然毒による食中毒の特徴は、①春と秋に多発する傾向がある②家庭での発生が多く、時に死亡することがある③春は有毒植物による食中毒が多発し、秋には毒キノコによる食中毒が多発することです。そのため、食用と確実に判断できない植物やキノコは、絶対に採らない、食べないことが大事ですね。    4月に4人の死者が発生していますが、これはイヌサフランをギョウジャニンニクと間違えて食べた件が3人、グロリオサの根をヤマノイモと間違えて食べた件が1人となっています。イヌサフランの誤食による死者は、9月にも1件発生しています。ギョウジャニンニクは、その名の通りニンニク臭がしますので、収穫後や食べる前に匂いを嗅ぎ、ニンニク臭発生件数患者数発生件数(件)・患者数(人)9080706050403020100123456789植物性自然毒発生状況(令和4〜6年の合計)(厚生労働省食中毒統計資料より作成)死者数死者数(人)9101112(月)はじっこクイズ東海コープ商品検査センター左:イヌサフランの根元は緑色右:ギョウジャニンニクの根元は  赤紫色「一緒に食を考えよう」参照/厚生労働省自然毒のリスクプロファイル:高等植物:イヌサフランhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000058791.html出典/北海道「毒草ハンドブック」https://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kse/sho/tyu/kus/103029.html有毒植物による食中毒に注意しましょう! 保健福祉部健康安全局食品衛生課 (hokkaido.lg.jp)ウィズコープ8月号詳しい検査内容は8月度の検査検体数(合計974)【報告日】2025/7/21〜2025/8/20微生物879残留農薬54動物用医薬品10GMO5残留放射性物質3ヒスタミン23検 索東海コープ 検査センターhttps://www2.tcoop.or.jp/安全で確かな品質のコープ商品をお届けするため、科学的なデータでバックアップするのが商品検査センターの役割です。名古屋市立大学薬学研究科博士後期課程を修了されたのち、名古屋市衛生研究所に入所。生活環境部長、食品部長を務められたのち、2019年4月から名古屋女子大学健康科学部健康栄養学科教授に就任され、2025年3月に退職。専門は食品衛生学。所属学会は日本食品衛生学会、日本マイコトキシン学会など。中島 正博(なかじま まさひろ)さん薬学博士。前名古屋女子大学 健康科学部 健康栄養学科 教授。今月のテーマ春と秋は自然毒による食中毒に注意しましょう!「食についてもっと知りたい!」という声にお応えします。知らなかった食の知識をあなたの日々のくらしにプラス!コープを利用しているからこそ、一緒に考えてみませんか。がしない場合には食べないようにしましょう。その他の誤食による中毒で多いものはスイセンです。ニラと間違えて食べて食中毒となる事例が多く、3年間で13件も発生しています。この場合もニラがニンニク臭を発しますので、上記と同様な判断が必要です。7月と10月の死者は、キノコのドクツルタケによるものです。コアラが主に食べるのは? > > ●○○○の葉(1文字目)検査センターだより自然毒とは? 自然毒は、フグ毒や貝毒などによる動物性自然毒と、有毒植物や毒キノコによる植物性自然毒に分類されます。植物性自然毒による食中毒は、毎年動物性自然毒の数倍発生しており、特に近年は有毒植物を食用の野草と間違えて食べてしまう誤食による中毒が多く、死者も発生しています。植物性自然毒による食中毒の特徴ジャガイモによる食中毒も注意! 6・7月において発生件数が低いわりに患者数が多くなっていますが、これは毒性物質であるソラニンが蓄積したジャガイモを、小学校で多数の児童が食べ発生した食中毒のためです。ソラニンは、芽に多く含まれていることはよく知られていますが、日光により表面が緑化した部分にも多く含まれていることは、あまり知られていません。学校での栽培時の不十分な土寄せや、収穫後の保管時に遮光をせず日光にさらされたことにより、イモの表面が緑化し、この部分を除去せずに食べたことが食中毒の原因です。ジャガイモによる食中毒はほぼ毎年発生していることから、学校関係者への情報提供が求められます。われわれの研究では、蛍光灯下やLEDライト下でも皮が緑化しソラニンが増加することが分かっています。家庭内でもジャガイモを新聞紙などで包み、光を当てずに保存することが大事です。厚生労働省のホームページに有毒植物に関するリーフレットが掲載されています。ご参照ください。https://www.mhlw.go.jp/content/001464746.pdf春や秋は旬の食材が豊富で、自然の恵みを味わえる時期です。しかし、この時期は8月号でご説明したように、自然毒による食中毒が多く発生する時期でもあります。そこで今回は、自然毒による食中毒の発生状況についてご説明します。

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