2011年3月11日に発生した、東日本大震災。マグニチュード9.0の大地震と、その後の巨大津波によって、東日本の広範囲にわたって甚大な被害を及ぼしました。
コープあいちは発災翌日から支援活動をすすめ、また組合員のみなさんからも多大な支援とメッセージを届けてきました。
震災から10年が経過しますが、震災の被害やこれまでの支援で生まれたつながりを忘れないためにも、また愛知での災害に備えるための貴重な記録とするためにも、これまでの活動の経過をまとめました。
(この内容は2022年2月28日発行の同名報告リーフレットをもとに作成していますが、組合員インタビューや被災地からのメッセージはリーフレットに掲載できなかった文章を加えたものにしています。)
理事長あいさつ
生活協同組合コープあいち理事長
森 政広
東日本大震災は、コープあいち設立2年目に発生しました。
発災直後から、現地にタオルを送ろうと組合員に呼びかけ、2週間で23万本のタオルを集め、現地に届けました。組合員からはタオルと一緒にメッセージも付けられ、組合員の思いを届けることができました。現地には、当時の全役員、全部長が現地で支援活動に参加しました。参加者が共通して実感したことは、「もし愛知県で災害が起こったとき、東北の生協のような地域にお役立ちができるのか?」との思いでした。加入率の高い東北の生協は、災害物資のお届けや避難所の運営を先頭に立ってすすめていました。コープあいちの加入率ではとてもお役に立つことができない。もっと生協をお知らせし組合員を増やそうと奮起しました。
組合員も、福島の桃をはじめ、現地の商品を利用することで支援しようと、呼び掛けてもらいました。原発事故で商品の安全性が問われることもありましたが、東海コープ事業連合の食品検査室が昼夜を問わず検査に奮闘し、安全性を組合員にお知らせしてきました。このように、組合員、職員、行政、地域の団体がともに力を出し合う支援活動を行うことができました。その後、行政や地域の団体とは、災害支援協定の締結や防災訓練、学習会などにつながりました。
愛知県でも、いつ災害が襲ってくるかわかりません。地球温暖化で、震災だけでなく、台風や大雨による10年に1度といわれる災害が毎年起こっています。そして、南海トラフ大地震は必ずやってくるといわれています。東日本大震災の教訓を生かし、組合員、地域のみなさんとともに、引き続き普段の備え、防災を強化していく決意です。
東日本大震災 募金の取り組み
みなさんからの思いで被災地を支え続けました
組合員からの募金総額は、10年間で 195,740,533円
●東日本大震災義援金募金
148,592,048円(災害緊急支援募金70万を含む)
●復興支援活動募金
日本生協連を通じて被災地へ | 1,501,000円 |
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くらし・地域復興応援募金への寄付 | 19,500,000円 |
コミュニティづくりや地域活動への支援 | 7,447,897円 |
陸前高田市「うごく七夕まつり」支援 | 1,850,000円 |
いわて生協を通じた支援 | 3,600,200円 |
愛知県内避難者への支援 | 12,255,690円 |
合計 | 46,154,787円 |
●募金の残金は21年度以降も県内被災者の支援などに継続して活用していきます。
発災直後の支援
コープあいちは、発災翌日から日本生協連を通じて支援物資をお届けしたほか、現地へ職員を派遣し、支援活動にあたりました。
発災直後から組合員に呼びかけた募金は、10年間で1億9000万を超える募金が寄せられました。寄せられた募金は、義援金として送金したほか、被災地(者)への支援活動や、震災支援団体がすすめる広範な取り組み、広域避難されている方への支援に活用されています。
また、テーマグループや地域委員会によって、支援バザーや現地との交流、物資のお届けなど継続的に続けられています。
広域避難者への支援
愛知県に避難された方にお米などの生活支援品をお届けしながら様子のおうかがいを行い県に報告するなど、行政・支援団体・NPOと連携しながら避難者支援にあたりました。
また、各地で開かれた避難者を囲む交流会には、多くの組合員も参加しました。
タオルの絆
組合員から「あきらめないでください」「ひとりじゃないよ」といった励ましとともに寄せられた23万本のタオルは、組合員や職員の手によって被災された方に渡りました。 そして、タオルが紡いだ被災地への思いは、職員・理事研修や復興支援ツアーなどの「現地で見て・聞いて・交流して学ぶ、感じる」取り組みにつながっています。
「タオルの取り組みが一番印象的だね」と話す組合員も多く、今でも交流が続いています。
タオルのお渡し
被災地との交流
生産者と組合員が
つながる
被災された生産者・メーカーを応援したいという思いから、宮城・岩手・福島の商品に「がんばろう日本」マークをつけて商品を案内し、利用を呼びかけています。
さらに、2012年度から開始した「福島県JA伊達みらいの桃」の取り扱いでは、産地を実際に見学した組合員の声を商品案内に掲載するなどの取り組みも行いました。桃から始まった福島県産品の取り扱いは、ぶどうやりんご、お米、トマトジュースへと発展しています。
お店で被災地と
つながる
店舗での「絆フェア」では、鮮魚さんま企画として1尾あたり2円の支援募金に取り組んだほか、東北の産品や手しごと品を販売する取り組みを行ってきました。
また「復興支援だんご」を店頭で焼き上げて販売し1本10円を支援カンパに充てる取り組みや、店長による支援活動報告会を行った店舗もありました。
「忘れない、伝える、続ける、つながる」をキーワードにした店舗での支援活動は、「少しでもいいから力になりたい」という組合員のあたたかな気持ちが集まる取り組みの一つでした。
復興支援活動から今へ
毎年全国各地でおこる自然災害を「自分事」ととらえて、支援活動に迅速に取り組んできました。
また、日々のくらしのなかで食料や生活備品を使って補充を繰り返すローリングストックを呼びかけたり、コープサポーターによる防災カフェを実施したりするなど、もしもに備えるための取り組みが各地で行われています。
今につながる思い
10年間を振り返るにあたり、支援活動にあたってきた組合員のみなさんにインタビューを行うとともに、職員からもメッセージを寄せていただきました。
10年を経て今思うこと~職員からのメッセージ
10年を経て今思うこと~組合員から
伊熊 憲世さん
私にできることは何か…仲間とつながり取り組んだこと、震災後の募金活動やタオルを集める活動ついてお聞きしました。
鶴島 道子さん、祖父江 裕子さん
私たちの経験を今、そして未来につなぎたい。
資料・動画アーカイブ
これまでコープあいちが、復興支援活動の際に作成してきた資料や動画を閲覧いただけます。これまでの取り組みをまとめ、経験を語り継ぎ、未来への備えとするためにぜひご覧ください。
10年間を振り返って
岩手県大船渡市 山口ボランティアグループ
金野 千代子さん
あの日から、早10年が過ぎました。
2011年3月11日、千年に一度という未曽有の大災害に、今まで営々と築いてきた生活圏の全てを失い、人生の歯車が狂った思いで喪失感しかなく、明日を考えることができなかったと口々に話しておりました。翌日から被害を免れた家々から毛布や寝具などが集められ、避難所へ届けられました。そして、近隣の婦人部、各地区公民館からおにぎりなどが届けられ、飢えと寒さをしのぐことができました。
そのような中、市内至る所に国内外からのボランティアの姿がありました。私たちは驚きとともに感謝の念を抱き、誰しもが心の中で、ありがとうとつぶやいておりました。そして、被災地への限りない支援を感じており、同時に、大きな生きる勇気をいただきました。
この10年間、明日を信じいつか安心してくらせる日々がくるまで、ともに支え合い、困難を乗り越えなければとの思いで今日まで、地域で、被災地で頑張ってまいりました。
コープあいちのみなさまからの10年にも渡るご支援に対する思いは多々ありますが、最初は赤崎地区公民館(漁村センター)において、被災直後(2011年5月ごろ)にひつまぶしの支援があり、それが心に残り、満たされた気分になったと、被災者のみなさんが嬉しそうに話しておりました。
そして、仮設集団住宅に移り、薄い布団しか支給されなかったころ(2011年11月ごろ)コープあいちの組合員の方々から綿入りの布団がたくさん送られてきました。それを仮設の責任者がお年寄りから順に配布し大変喜ばれたことや、ジャンボ焼き鳥、みたらし団子、五平餅の直接支援など、そして毎年みかんの支援をいただき、コープあいちのみなさんと一緒に山口地域全戸に配布し感謝されました。また、さんま祭りへの支援など被災者や被災地では思い出がたくさんあります。今でも東北支援グループからは毎年3回犠牲者へのお花・お線香代として赤崎地区公民館長あてにお金とお菓子が送られてきます。このように、数限りなくご支援をいただき、御礼申し上げます。
今は、被災地の住居は高台へ移転し安心の反面、赤崎地区の街は寂れてしまいました。
どこの国でも自然災害と無縁のところはないようですが、いかに災害から身を守るか、常に心掛けておくべきと思います。支援が到着するまでの間、2~3日分程度の食料などの備蓄は必要と思われます。
今まで、コープあいちのみなさんから、私たちは多くのことを学ばせていただきました。「協同の心」を、私たちも心に刻み、これからは助けを必要とする人々に支援の手を差し伸べる思いです。
コープあいちのみなさま、ぜひ東北へお出かけいただき、10年経過した様子を見てくださいませ。皆でお待ちしております。