ユタカフーズ株式会社・知多郡武豊町
1980年代、市場では本格中華の高級麺が次々と発売され人気を博していました。組合員からもコシのあるのびにくい麺を求める声があり、新しい麺の開発が始まりました。
麺のコシは通常「かん水」という食品添加物を使用してできますが、生協には添加物はなるべく少なくという考えがあります。かん水を使わない麺づくりは大変なことで、讃岐うどんのように小麦粉に水分を含ませたところ、独特のコシを持つ麺ができました。フライ麺は約1分半で乾燥させますが、味一番拉麺の麺は湿度を与えながら約30分もの時間をかけて乾燥させます。じっくり乾燥させる点は手延べの稲庭うどんのようです。専用の小麦粉を独自配合し、つるつると滑らかな食感に仕上がった味一番拉麺は、1983年に発売を迎えました。
その後も麺のつなぎをかん水と同じ効果のある卵殻焼成カルシウムに変更するなど、改良を重ねました。こだわりはスープにもあり、発売当初から粉末と液体のダブルスープです。途中、シングルスープヘの変更案も出ましたが、粉末のパンチ力とメリハリ、液体のコクとうま味、それぞれの特長を合わせた深みのあるスープは、シングルスープでは味わうことができません。他にも、5食パックで利用しやすい価格にするなど、麺やスープのおいしさはもちろん、組合員のくらしに寄り添う姿勢がロングセラーにつながっています。
◂真空ミキサー
脱気して原料を混ぜる。真空にして水分を小麦粉の中心まで浸透させ、コシのある麺を作る
◂熱風乾燥した麺
じっくり乾燥させることで、麺は1本の麺の表面と中心部の食感が均ー化する
◂初代パッケージ
背景画は中国を連想させる風景。各社が高級中華麺として発売し、このような背景のある包材が多かった
発売から40年、定番の商品となりました。これほど長い間利用され続ける商品はなかなかありません。自社のNB(ナショナルブランド)商品の「赤いきつね」「緑のたぬき」と同じくらい、息の長い商品です。生協は、交流会や学習会で直接組合員のみなさんの声を聞くことができます。「味一番拉麺」も全国の組合員の声を聞きながら改良し、そのたびにコープあいちの組合員にも試食をしてもらって商品に反映してきました。近年、包材や光熱費の高騰など厳しい面もあります。「品質を落としてはいけない」、そこにこだわり、包材を小さくするなどして商品に影響しないよう工夫しています。
高級ノンフライ麺が出始めたころに、生協仕様として開発・販売されたラーメンです。夕飯にも出せる本格的な中華麺として、麺とスープにこだわって製造してきました。麺は、かん水を使用しなくてもコシが出るよう、自社独自の真空ミキサーという機械で製造し、スープは肉や野菜を入れても負けないダブルスープです。ここまで麺とスープにこだわった商品は他にないのではないかと思っています。この味と品質は、どこの商品にも負けないと自信を持ってお届けしています。まだ食べたことのない方にも、その味、そのよさを知っていただきたいです。
■ 残った粉末スープと液体スープは、お好みの量のお湯で希釈してよく混ぜます。きざみねぎなどを入れれば即席のスープに!
ノンフライ麺で、湿度を与えながら、約30分かけてじっくり熱風乾燥させて製造しているからです。徐々に水分を飛ばし、ゆっくり乾燥するので麺は密になり、水分を吸わないので伸びにくくなります。一方、油揚げ麺は約150℃の揚げ油で、約1分半という短時間で水分を飛ばして乾燥します。急速に乾燥させるので麺は空洞が多くなり、そこへどんどん水分が入っていくため伸びやすくなります。
組合員、生産者・メーカー、生協と、産地工場見学や学習会で多くの交流をしてきました。
これ一品で、食卓が中華料理店に早変わり!
熱湯150mlを注いで約2分で出来上がり。チキンとほたてのうま味が効いたスープにしゃきしゃきわかめがよく合います。
CO・OP わかめスープ47g(4.7g×10)▶︎
熱湯150mlを注いで約2分で出来上がり。チキンとほたてのうま味が効いたスープにしゃきしゃきわかめがよく合います。
【CO・OP】わかめスープ47g(4.7g×10)▶︎
「CO・OP味一番拉麺」には、「しょうゆ味」と「白湯味」の2種類があります。かつては、「しお味」や「みそ味」、「担担麺」や「ちゃんぽん味」のフレーバーもありました。変わったところでは、つけ麺や麺のみの"鍋用"もあったんです。いろいろな理由で取り扱いが無くなったり、終売となってしまったり(泣)
今は定番となった「白湯味」も、実は一度終売になった商品です。「味一番拉麺」販売30周年のときに、「復刻してほしいフレーバー」のアンケートを取ったところ、圧倒的に「白湯味」が人気だったため、復活させることになったそうです。
みなさんは、復活させてほしいフレーバーはありますか?編集者のお気に入りは「鍋用ラーメン」でした。伸びにくい味一番拉麺なので、鍋のしめにもってこい!煮込んでもコシがあり、わが家の鍋料理には欠かせない一品でした。ぜひ復活してほしいなぁ。
今回お話をうかがった東洋水産の伊藤さんが教えてくれたのは、味一番拉麺のゆで方です。
味一番拉麺は、ゆで時間が4分。沸騰したお湯に麺を入れてから、3分はじっと待ち、残りの1分で麺をほぐすと、さらにおいしいラーメンになるそうです。ある程度やわらかくなると箸で何度もほぐしてしまいがち。早めにほぐすと麺の表面に傷がついてしまうのだそうです。もちろん、袋に記載された作り方通りに作れば、おいしいラーメンは完成します。が、ここは3分我慢して最後に麺をほぐせば、味一番拉麺のコシとツルツル感を一層感じることができますよ。ぜひお試しください。
ちなみに、1年間で一番ラーメンが売れるのは12月で、次いで1月とのこと。年明けにラーメンやカレーが売れるので、業界では「年明けラーメン」などと言うそうです。お正月料理やお餅をたくさん食べて、ちょっと飽きてしまったときに食べたくなるのでしょうか。海外旅行から帰国した人たちに「今何が食べたいですか?」と聞くと、多くの方が「ラーメン」と答えます。今や「ラーメン」は日本のソウルフードとなっていますね。