株式会社マメックス・岐阜県関市
かつて豆腐は、一丁単位で買うものでした。残った豆腐は冷蔵庫で保存しても日持ちしません。技術の進歩で賞味期限が延びた豆腐もありますが、使い切るのが原則です。マメックスは「もっと使いやすく、日持ちさせたい」と豆腐の冷凍に取り組むことにしました。通常豆腐は冷凍できません。凍る際に内部で氷の結品が大きくなり、豆腐の組織を壊して「す」が入ってしまうからです。開発は失敗の連続でした。改善を重ね2年の歳月をかけて独自技術を開発。型崩れしにくい滑らかな冷凍豆腐を作り出しました。同じころ、生協では組合員の「日持ちする豆腐がほしい」という声で、メーカーを探していたところ、すでに学校給食で使われていたマメックスの冷凍豆腐にたどり着き、取り扱うことになりました。
原料は国産大豆100%です。ラインのほとんどが自動化なので、包装するまでは、ほぼ人の手に触れることがありません。細菌検査や検品はもちろん、カットの状態や解凍後の食感や風味についても、毎日の官能検査でチェックしています。
長期保存ができ、切る手間もなく、冷凍のまま使いたい分だけ使える、名前の通りの「便利とうふ」。当初は「高野豆腐ではないか」「冷凍で大丈夫?」など、懐疑的な目で見られていました。生協のお店で試食販売を何度も繰り返して特徴を伝え、組合員の要望から宅配でも取り扱いが始まりました。東海コープ※での利用で便利さと安全性が評価され、今では全国の生協やさまざまな業種で利用されています。
◂原材料の大豆
豆腐造りに適した国産大豆を使用。おいしさ、便利さだけでなく、原料の安全性にもこだわる
◂大豆の浸漬
重量が2〜3倍になるまで水に浸漬する。
浸漬時間は「職人の経験と技」に左右される豆腐造りの要
◂離乳食交流会
(2019年)
少量から調理でき、長期保存もできるので離乳食にも便利。
宅配センターで交流会も行っている
弊社の冷凍豆腐は、学校給食で多く利用されているため、コロナ禍で給食停止になったときは、本当に大変でした。さらに飲食店の休業でも打撃を受けました。幸い、おうち時間の内食で生協の宅配需要が増えたため、助けられました。多くの商品が欠品する中、便利とうふは冷凍で保管ができるので弊社に在庫があり、注文いただいた商品を切らすことなくお届けできました。
業務用では多く利用されていても、食べた方の話を直接聞くことはありません。生協では交流会で「こんなふうに使っているよ」と聞くことができ、使ってくださる組合員のみなさんを身近に感じることができます。時に厳しいご意見もいただきますが、どう思ってくれているのかを知ることができるのは生協だけ。励みになります。交流会には、冷凍豆腐と聞いて想像ができない方、おいしいイメージを持たれない方も来られます。お話をして試食していただくと「こんなにいいものなんだね」と言ってもらえて、うれしくなります。「冷凍豆腐といえばマメックス」と覚えていただくことも増えました。弊社は冷凍豆腐をメインに扱っており、その一品をここまで認知していただいていることはありがたく思います。しかし、まだまだ知られていないとも感じています。安心・安全を大切にする、そこには自信を持っています。ぜひ一度手に取って使っていただきたいです。
■ 豆腐が凍っているから、肉が張り付いて簡単に巻くことができます。
■ から揚げ粉をまぶして揚げると、総菜にもなります。
■ 炊き込みごはんの素を使えば、「便利とうふ」だけで簡単にできます。
■ 混ぜ過ぎない。
■ 豆腐はこおったまま使用するので、水切りの手間がありません。
■ ブロッコリーやパプリカ、マッシュルームなど、お好みの野菜を加えてもおいしく召し上がれます。
■ スプーンを2本使うと丸くできます。
■ 生地の半分を豆腐に置き換えることで、ヘルシーなドーナツに。
独自の技術で豆腐を急速に凍結させることと、原材料に微量のでんぷんを入れて豆腐の保水力を保たせることで、「す」が入らない滑らかな豆腐を造っています。
天然の大豆には、カロチノイドとフラボノイドの2つの色素が微量に含まれていて、カロチノイドは黄色系、フラボノイドは黄色から無色系の色素です。太陽や照明の光が冷凍豆腐に含まれる氷の結晶に当たり、屈折や反射をすることでそれらの色素が目立つためです。豆乳や常温の豆腐は温度の関係で屈折や反射の効果が小さく、色素は目立たなくなります。便利とうふも、解凍調理すると再び元の白色に戻ります。
組合員、生産者・メーカー、生協と、産地工場見学や学習会で多くの交流をしてきました。
やわらかい絹ごし豆腐です。
使い切れない悩みは解消ですね。
鍋物や巻き調理に最適なサイズ。鍋料理には冷凍のまま入れて、ひと煮立ちでOKの簡単調理。
マメックスの便利とうふ
(ブロックサイズ)500g▶︎
鍋物や巻き調理に最適なサイズ。鍋料理には冷凍のまま入れて、ひと煮立ちでOKの簡単調理。
マメックスの便利とうふ
(ブロックサイズ)500g▶︎
(株)マメックスの設立は1997年(平成9年)。名古屋市にある鉄鋼会社の子会社としてスタートしました。鉄道車両や船舶の材料に使われる鋼板を製造する企業ですが、当時鉄鋼業界は厳しい状況にあり、「何か他の事業を」と模索していたそうです。
高温で溶かした鉄を固める知識と技術が、豆腐を造って冷凍する技術に応用できました。しかし、販売するまでには失敗の連続だったとのこと。改善に改善を重ねて「便利とうふ」が完成しました。「硬い鉄づくり」から「柔らかい豆腐づくり」へ…。冷凍豆腐の製造工程はほとんどがオートメーション化されています。鉄づくりのノウハウが、便利とうふのおいしさと安心・安全に生かされているのですね。
冷凍で保存できる便利とうふですが、交流会や学習会では、組合員から「保存方法」を聞かれることが多いそうです。小林さんは、「使用後は袋の空気を抜き、チャックをしっかり閉じて、冷凍庫の奥の方で保管してください」と説明しています。冷凍庫の開け閉めで溶けて水分が出ると、再度凍って固まってしまうとのこと。
いずれにしても、開封後は霜がつきやすくなるので、早めにお召し上がりくださいね。