細江農産物供給センター・静岡県浜松市
めいきん生協設立の前年※、安心して食べられるみかんの産地が見つからず困っていたところ、大学生協から細江農産物供給センターを紹介されました。農薬を減らしたみかんを届けたいという生産者と思いが一致し、産地直送が始まりました。
単なる産直ではなく、生産者と消費者が生産方法や出荷点検、価格などを話し合い、お互いが納得のいく取引です。そのためには日常の交流を通して信頼関係を築くことが大切でした。ある年、価格が大暴落。組合員は生産者を支えるため市価より高い価格で利用しました。翌年、市場価格は大高騰。今度は生産者が安価で届けてくれました。顔が見えるからこその助け合いでした。今も収穫体験や試食交流会、産地訪問やオーナー企画など、産消提携活動を通して組合員との交流が行われています。
こだわりの第ーは農薬を減らしていること。静岡県は全国でも農薬散布回数の制限が厳しい県ですが、そこから3割も減らしています。病気や害虫の被害に遭いやすくなることを防ぐため土作りを大切にし、手作業での草刈りなど手間をかけて大切に育てています。出荷前は第三者による点検が行われ、安定した品質・食味のみかんを出荷しています。こういった努力から栽培自慢の認証を取得。大きさや形の選別をしないのは、見た目ではなく中身に自信があるからです。糖度と酸味のバランスがよく、コクがあり、お互いの信頼から生まれたみかんです。
◂学習会資料
(1988年ころ)
手書きの資料。組合員、生産者、生協で産直の歴史を振り返り、学ぶことから、「現状と将来」を考え合った
◂オーナー企画契約会
(2023年8月)
オーナーは自分のみかんの木を決める。契約会後、生産者と交流し、みかんの摘果作業を体験
◂摘果作業
(2023年8月)
おいしいみかんを作るため、豊富に実ったみかんを間引く。残った実に集中して養分を与えることができる
みかんは寒さに強い果物ですが、寒波が来ると木の樹液が凍り、木が裂けてしまいます。昔は30年に一度の割合で寒波が来ましたが、最近は気候の変化で3〜5年に一度です。また、みかんは山の斜面で栽培しているので、摘果や収穫は、機械では無理です。人の手で1つ1つはさみを使って収穫するため手間も時間もかかり、大変な重労働です。最近は、みかんの消費量が減少しています。消費が減ると生産者も離農してしまい、以前は100人以上いた生産者(組合メンバー)も今は20数人になってしまいました。後継者がおらず、高齢化もすすみ人手不足ですが、今いるメンバーで助け合って作っています。
天竜川から蒲郡市の間の土壌は、みかん栽培に最も適しています。みかんは地中の水が多いと甘さが薄まってしまいます。日照時間が長く、しかも雨が少ないこの地域で栽培するみかんは、コクと深みがあり、味も濃くなります。収穫したみかんは、1粒残らず出荷したいです。見た目が悪くても、すべて生協の基準を守って生産しているものだからです。農薬の使用が少ない分だけ、見た目が悪いなどのリスクが多くなりますが、ご理解の上、利用していただきたいと思います。
組合員や職員のみなさんとは、交流会や研修会などを通して、共に学び励まし合ってきました。今もオーナー企画などで交流をしています。ぜひ現地に来てみかんの木を見ていただきたいです。
風通しがよく、涼しい所で保管します。袋に入ったみかんは、すぐに袋から出して籠などに盛り付けて。乾燥が気になるときは、布巾などを掛けます。箱に入ったみかんは、底から傷みやす いので、箱を逆さにして開封しましょう。風通しをよくするために、ふたは開けたままで。
外皮の色が濃い物、へたの芯が小さい(細い)ものをおすすめします 。また、外皮は薄い方がおいしいです。外皮の薄さと、みかんの房の皮の薄さは比例しています。
組合員、生産者・メーカー、生協と、工場見学や学習会で多くの交流をしてきました。
ついつい食べちゃって止まらない!
みかんは苗木を植えてから、3年ほどで花が咲きますが、実が生るのは5年くらいから。最初は木を育てるのにエネルギーを使うので、実まで力が行かないのだそう。10年から15年くらいすると落ち着いて、味のよいみかんが収穫できるようになるそうです。みかんの木の寿命は、100年以上のものもありますが、平均30年から40年とのこと。その間、おいしいみかんを作り続けてくれます。
みかんには多くのビタミンCが含まれています。ビタミンCは免疫力を高め細菌やウイルスなどへの抵抗力をつける働きがあり、風邪などの病気予防の効果が期待できます。風邪が流行する季節には毎日でも食べたい果物です。ビタミンCには、シミ・そばかすのもととなるメラニン色素の原因「チロシン」を生成する酵素である「チロシナーゼ」を抑える働きがあり、メラニン色素の沈着を防ぐことが期待されています。
また、みかんの橙色の色素である「βークリプトキサンチン」には、骨の健康維持の効果が期待でき、機能性表示食品として販売されてきています。
【コープあいち 子育て情報サイト「ほこフレ!」より】
果肉や果汁だけでなく、皮や内皮にも薬効が豊富に含まれていて、特にビタミンPと呼ばれる「ヘスピリジン」は皮や筋、内皮に多く含まれているので、丸ごと食べるのがおすすめです。
みかんの白い筋(アルベド)には、食物繊維やヘスピリジンが豊富に含まれています。ヘスピリジンには、壊れやすいビタミンC
を安定させる効果があります。
それでもやっぱり白い筋は苦手…という方に、ちょっとしたアドバイス。みかんの皮はどこからむきますか?おしりからむくとむきやすいので、そこからむく方が多いのでは?みかんはヘタからむくと、白い筋がきれいに取れますよ。
みかんは、生食するとビタミンCを十分に取ることができる一方、加熱すると血行促進や冷え性予防に有効に働きます。風邪をひいたかなと思ったら、みかんを洗って水気を拭き、丸ごと焼き網に乗せて弱火で焼きます。時々転がしながら、皮がほぼ黒くなるまでじっくり焼くのがコツです。このまま食べてもいいのですが、熱い果汁を搾り、そこにしょうが汁を少量加えて飲むとさらに効果的です。体が温まり、発汗してきます。風邪のひき始めにお試しください。
みなさん、「陳皮(チンピ)」ってご存知ですか?みかんの皮を乾燥させた漢方の生薬※です。一般的的には薬味として使われていて、みなさんの家にもきっとある、七味唐辛子にも入っています。この陳皮、自宅でも簡単に作ることができます。今回、生産者の渥美さんが「おすすめです」と教えてくれました。
みかんの皮を乾燥させて、お風呂に入れることはありますが、みかんをたくさん食べるこの季節、ぜひ、自家製陳皮にも挑戦してみては?
※漢方薬として利用される陳皮は、「1年以上陰干しで乾燥させたヘスピリジン4.0%以上含むもの」です