東洋水産株式会社・東京都港区
1990年代、市販のフリーズドライのスープは和風・洋風・中華風と、特定の料理に合わせた味のものがほとんどでした。粉末や顆粒スープなどの安価なものに比べて値段も高く、量販店からは見向きもされませんでした。唯一、高く評価した生協と東洋水産が、組合員のくらしを考え、どんな料理にも合うスープの開発を始
めました。
めざしたのは「家庭で作るかき玉」です。東洋水産ではフリーズドライ製法で即席麺の具材を製造していましたが、スープの開発は初めてのことでした。フリーズドライ製法では、スープの試食に最低3日は必要です。液卵の温度や注ぐ速さなど、何度も調整しましたがすぐには結果が出ないため、なかなか進展しませんでした。100回以上もの試作を繰り返し、ようやく出来上がりました。
1994年の発売当初から変わっていないのは、たまごのふんわり感と滑らかな食感、飽きのこない味付けです。それには新鮮なたまごを使うことが欠かせません。加工用の液卵でも試作しましたが、どうしても新鮮なたまごで作ったスープの品質を超えられませんでした。使うのは国産のたまごだけ。新鮮さにこだわり、厳しい基準の検査に合格したものだけを使用しています。
学習会やサンプルなどでみるみるうちに人気が出て、大容量タイプを求める組合員の声にも応えてきました。今では生協の人気商品の一つです。
◂トレー充てん
できたスープと具材をトレーに充てんしていく
◂凍結庫搬入
トレーに充てんしたものをトロリーに入れて凍結庫に運ぶ
◂急速冷凍庫
超低温で急速冷凍し、一晩凍らせる
昨今の原油や原材料、光熱費の高騰により、製造原価が過去にないほど上がっています。また、鶏インフルエンザの過去最大の拡大による液卵の高騰や調達制限で、十分な商品の出荷ができず、組合員のみなさんには大変ご迷惑をおかけしました。液卵の調達については徐々に緩和されつつあり、今は商品が行き届くよう日々製造に努めています。
コープのたまごスープはフリーズドライなので賞味期限が18カ月あり、消費しながら備蓄するローリングストックにぴったりの商品です。おいしく召し上がって、備えとしてもご利用いただければと思います。
コロナ禍で止まっていた交流会が再開しました。組合員のみなさんと再び直接コミュニケーションが取れるようになり、たまごスープはみなさんに育ててもらったのだと実感しました。「商品のどこに問題があるのだろう」と思っていると、みなさんの声から原因が分かることやヒントを得ることがあります。フリーズドライ商品は安価ではありませんが、おいしいということを知ってくれています。生協のよいところは「いいものを伝えたい」というところです。30年間利用いただけているのは、世代を超えて好まれ、支持を得ているからだと思っています。これからも家庭の味として引き継がれ、愛され続けてほしいです。
■ コープの冷凍たこ焼きを使えば、とっても簡単!
■ 鯛やさわらの切り身で作ってもおいしいです。
■ お好みで、かまぼこや椎茸、ボイルえびなどを加えて♪
フリーズドライのスープは、冷凍したスープを高真空下で乾燥させた製品です。凍らせたスープ内の水分は、急速冷凍によって微細な氷として凍っています。その微細な氷が気体となるので、小さな穴がたくさんあいたブロックとなります。その部分にお湯が入り込むことで、素早くスープが元に戻ります。
※高真空下での乾燥の仕組みは、編集部まとめで
フリーズドライは、低温下で乾燥させる方法なので、食品組織が破壊されにくく、新鮮な採れたて素材そのままの味・香り・食感・栄養成分を保つことができるのです。
M サイズのたまご1/3 個を使っています。
組合員、生産者・メーカー、生協と、工場見学や学習会で多くの交流をしてきました。
いろんな種類を常備して気分で選ぶのもいいですね!
キャベツ・玉ねぎ・小松菜など、5種類の野菜入り!もちろん、ふんわりたまごです。
Q&Aに書いてある通り、真空乾燥庫で凍結されたスープは、内部で氷になっていた水分が気体となって取り除かれ、乾燥されます。真空乾燥庫の中は、なんと約1/1500の気圧、ほぼ真空になっています。
通常の生活空間(1気圧)では、水は100℃で沸騰
↓
富士山の山頂(2/3気圧)では、水は87℃で沸騰
↓
1/165気圧では、水は0℃で沸騰、つまり気体になる
真空乾燥庫の中(約1/1500気圧)に、超低温に凍らせたスープのブロックを入れ、温度を上昇させると、ブロック内部で凍った水分(氷)は、昇華※によって気体になります。
粉末スープの場合、一般的に熱風を当てて乾燥させるので、短時間で完成しますが、フリーズドライは、上記のように液体を一度凍結し、気圧の変化でじっくり乾燥させるので、完成までに3~4日かかります。熱を加えないため食材の風味・食感がそのまま残るのです。
※固体が液体を経ないで直接気体になること
今回お話をうかがった、東洋水産㈱伊藤さんのおすすめは、何といってもこれ!「CO・OP釜飯の素 鶏五目」です。手軽に作れて、風味や食感のよいフリーズドライの釜飯の素です。フリーズドライ製法だから、普通の水加減で1合からべとつかずにおいしく炊け、必要な分だけ無駄なく使えます。
1合に1個入れて炊くだけなので、単身赴任や一人ぐらしの方も1合から炊けて、とっても便利。鶏肉・ごぼう・にんじん・椎茸・ひじきが入って具だくさん。ぜひ一度、伊藤さんおすすめの釜飯の素で、おいしい炊き込みごはんを作ってみてくださいね。