栄屋乳業株式会社・愛知県岡崎市
栄屋乳業とのお付き合いは1984年、当時のみかわ市民生協※と始まり、間もなく東海の3生協に広がりました。やがて全国の組合員に提供することを機に、まだ珍しかったシューアイスを生協らしいこだわりのある商品として改良することにしました。
中のアイスは豊かなコクとミルク感にこだわり、脂肪分が高めで後味がさっぱりした「アイスミルク規格」に決まりました。シュー皮もアイスに合わせて改良が必要になりました。シュー皮は毎回焼き上がりの形が違い、膨らみ具合は職人の技とその日の温度・湿度も関係しています。従来のものより薄く焼き上げると、口どけのよい皮が出来上がり、香ばしく軽い食感が楽しめる商品になりました。1995年に誕生した「バニラシューアイス」は、生協のアイスの中でも上位に入る人気商品です。
※ 1969年めいきん生協設立、1974年みかわ市民生協設立。2010年両生協が合併して、コープあいちが誕生。
コープあいち1周年記念商品として、「西尾の抹茶」をアピールしたいという組合員とともに、「抹茶シューアイス」の開発が始まりました。交流会や学習会で累計2万個におよぶ試食で意見をもらい、着色料を使わず抹茶の風味をそのまま生かした商品が生まれました。
組合員の声に応え、共に歩んできた栄屋乳業では、シューアイスを手で持って食べることから、機械の洗浄や従業員教育など衛生管理も徹底しています。また厳格な食品安全マニュアルと作業手順の確立で、組合員の安全・安心を最優先してお届けしています。
◂シュー生地製造
機械で小麦粉とたまごを混ぜる。たまごは日によって濃さが違うため、混ぜる時間も変わる。職人の技。
◂初代冷凍機
戦後間もない昭和21年(1946年)、第一号冷凍機の導入でアイスキャンディの本格製造を開始。
◂組合員と開発(2011年)
抹茶をたてるのと同様に、クリームに粉末を入れることで、抹茶本来の味を出せた。
組合員と商品開発に携わり、一般消費者との違いを感じました。それは、商品の品質に対する要望の高さです。実際に声を出していただくことで、私たちも勉強し、改善を重ねてきました。当社のレベルを高めていただいたと感謝しています。
組合員とメーカーができることは違っていて、それが一つになったとき、大きな力になると考えています。それぞれができることを一生懸命やることで、やがて線でつながっていくと思っています。
バニラシューアイスは、食のシーンまで考えられた、生協独自の商品だと感じています。お子さんが食べるには大きさもちょうどよく、アイスの棒がのどに刺さる心配がないため、学童保育のおやつで出されるそうです。
ウクライナ情勢では、いろいろな原料が入らなくなり、当社もパッケージフィルムが入荷しづらくなりました。1つの商品はたくさんの材料でできています。材料は、いつでもどこにでもあるものではありません。「最後までおいしくいただく」「残さず食べる」、商品を通して食育なども伝えられればと思っています。交流会などで人前に出るからこそ伝える義務があります。商品の魅力はもちろん、それ以外のことも知ってもらいたいと思っています。
※調理時間は目安です。機種や入れる個数により多少異なります。
■ ホイップクリームやフルーツでデコレーションすれば、より豪華に。粉砂糖などをトッピングして楽しんで♪
※ 小さなシュークリームを積み上げて、上からチョコレートをかけたデザート。
※画像はイメージです。
充填するときのアイスクリームは、ソフトクリーム状になっているので、皮の上から機械で充填します。その後、凍結して固めます。
シューアイスに付着した小さな氷の粒が蒸発し、密封状態の包装が膨らむことがありますが、品質には問題ありません。商品の臭いや状態を確認して、異常がなければ食べられます。
組合員、生産者・メーカー、生協と、工場見学や学習会で多くの交流をしてきました。
小ぶりで数も多いバニラシューアイス。みんなでワイワイ食べるのも楽しいですね。
2010年、コープあいち発足がきっかけとなり、愛知の特産物使用と、子どもでも安心して食べられることをテーマに検討、商品化。
抹茶ワッフル1個 ►
今回、バニラシューアイスを特集するにあたり、栄屋乳業製造の商品をながめていると、「抹茶シューアイス」と「抹茶ワッフル」に見覚えのあるマークが…。
よく見ると「アンデイコ」とあります。この名前、テレビCMで見覚えがありました。栄屋乳業製造でありながら、CMでよく見る「アンデイコ」のマーク…。吉橋さんにお聞きしたところ、この「アンデイコ」は栄屋乳業の別のお名前でした。
栄屋乳業株式会社、エイコウグループというグループ会社の一つです。他にも、アンド栄光株式会社やアンデイコ株式会社などがあります。栄屋乳業株式会社は商品製造と、生協や学校給食などと取引を、アンド栄光株式会社はスーパーやコンビニと取引しています。では、
「アンデイコ(andeico)」は?これは、「アンド栄光」をもじったもので、スーパーや問屋に顔を出すたびに「アンドエイコウさん、アンドエイコウさん」と呼ばれ、いつしかそれが「アンディコさん」になり、「アンデイコ」が商標になったそうです。テレビCMから流れる「アンデイコ」と、
バニラシューアイスの栄屋乳業は同一会社だったのですね。
ちなみに、「and(アンド)栄光」とは、「お客様と共に光り、栄えていこう」という思いが込められているそうです。
アイスクリームのパッケージには賞味期限が記載されていないことをご存じでしたか?
アイスクリーム類の場合、マイナス18度以下で保存されていれば、保管期間の長さによる品質劣化が非常に少なく、安定している食品なので、賞味期限を表示しなくてもよいとされているのです。ただし、家庭の冷凍庫に長く保管された場合、扉の開閉などによって少しずつ温度変化を受け食感が変化し、シャリシャリとしたおいしくない状態になる可能性があるので、なるべく早く食べることをおすすめしています。
就活中の学生だった吉橋青年は、内定をもらっていた企業がありましたが、就職を決めかねていました。
そのころ、たまたま入ったスーパーで、普段あまり甘いものを食べない吉橋青年ですがプリンを買います。すると、一口食べたそのプリンがとてもおいしくて感動!表示を見ると栄屋乳業の名が…。「こんなおいしいものを作る会社に就職したい!食べる人を感動させたい!」。急いで履歴書を送り、面接試験をパスして今に至るそうです。
生協担当となった吉橋さんは、組合員と一緒に西尾市の抹茶を使ったワッフルを検討・開発しました。愛知県は野菜や果物の産地です。それらを原料と地域ブランドの商品をこれからも開発していきたいと、日々努力を重ねられている吉橋さんです。