株式会社コープクリーン・埼玉県蕨市
生協の商品の中には私たち自身が「加害者」にならないために開発された商品もあり、洗剤はその代表です。1960年代は下水道や下水処理施設が整備されておらず、一般家庭から排出された洗剤成分が分解されないままに河川に流れ込み、水質汚染が社会問題化していました。生活排水で自然環境を汚すことは、そのまま自分たちへ危害を加える結果となってしまいます。手荒れや皮膚疾患といった被害もあり、「人にも環境にも配慮した洗剤」を組合員が求め、開発が始まりました。1965年、当時多くの洗剤に使用されていた界面活性剤ABS※1より、生分解性のよいLAS※2を使用した「コープソフト」が発売されました。1969年、より生分解性が高い高級アルコール系界面活性剤を使用した「コープセフター」が誕生し、生協の洗剤の取り組みが本格化しました。
※1 アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
※2 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
その後もコープセフターは、琵琶湖条例※3を受け、早々に無リン化合成洗剤に改良。1983年には、洗浄成分の主原料を、枯渇資源の石油から再生可能な植物原料に切り替えるなど、常に環境に配慮した商品開発に取り組んでいます。リサイクルPET包材の使用や、大容量詰め替えの紙パックなどパッケージにもこだわっています。また洗浄力と直接関係のない蛍光剤や着色料は使用していません。「洗う」ということを見直し「加害者」になることなく、かけがえのない自然を守る、生協の洗剤にはそんな思いが込められています。
※3 富栄養化による水質汚染を防ぐため、リンを含む家庭用合成洗剤の使用・販売禁止を施行
◂アブラヤシ農園
日本で使われる植物油の1/4がパーム油といわれ、さまざまな用途で使用される。
◂コープの洗剤環境寄付キャンペーン
対象商品1品利用につき、0.5円をWWFジャパンに寄付。持続可能なパーム油の生産などを支援。
◂初代パッケージ
1969年誕生。「セフター」の商品名も組合員の応募によって選ばれた。セフターは安全の意味のSAFEから。
生協の交流会や学習会は直接組合員のみなさんの声が聞けるチャンスですが、今はそのチャンスを失くしています。こちらからお話して伝えることも減ってしまいました。商品カタログの中でも洗剤は後ろのページです。組合員から「後ろの方まで見ないわ」とご意見をいただくこともあります。カタログの前の方にある特設ページに掲載するなど、コープあいちや東海コープ事業連合と協力しながら、みなさんにセフターのよさを伝えるため試行錯誤の毎日です。また、コープクリーンのWebサイトにはセフターの動画があります。なかなかみなさんにお会いできない今、こうしたコンテンツやSNSを活用して「コープにもこんないい洗剤があります」「こんな学習会をやっています」と、セフターを知っていただく取り組みをしていきたいです。
生協の組合員は「商品をみんなで作っていく」という意識が高く、私は一緒に商品を育てていく「仲間」だと思っています。
セフターをはじめ、生協商品のパッケージ裏には、お問い合わせセンターの電話番号と共に「声をおきかせください」とあります。商品へのお申し出やお問い合わせの他、「この商品のここがよかった」「もっとこうしてほしい」という声を大変多くいただきます。こうした叱咤激励は、「生協なら応えてくれる」というみなさんの生協への期待の大きさだと感じています。その期待に応えることが私たちの役割と考えています。
※ 株式会社コープクリーンは、日本生活協同組合連合会の子会社。
手ごわい皮脂汚れは酸性の汚れ。液体洗剤より粉末の方がアルカリ性が強いので、よく落ちます。
洗浄力が一番高まるところで使用量を設定しています。たくさん使い過ぎると、洗剤成分が残る心配も。適量で洗うことで下水処理施設への負担を減らすことにもなります。
すすぎ1回使用の洗剤は、泡立ちは少ないけれど洗浄力が高く、泡切れがよい仕様になっています。すすぎ1回にすることで節水・時短にもなります。
洗剤で、残り湯に含まれる雑菌は衣服の汚れと共に除去されます。でも、すすぎに残り湯を使うと、衣服に雑菌が付着してしまうのでおすすめできません。
組合員、生産者・メーカー、生協と、工場見学や学習会で多くの交流をしてきました。
蛍光剤入りの洗剤で洗った生成りのハンカチが真っ白に! 当時は蛍光を発して白く見せていることを知らず、手品みたいで不思議でした。今では笑い話です。