株式会社 節辰商店(ふしたつしょうてん)・名古屋市港区
「せいきょうだしパック」は数種類のサンプルから組合員が選んだ味です。
「普段から家庭で簡単に使えるように」という思いから、50年ほど前、先代の社長が手で回す削り器を使ってかつお節を削り、さまざまな原料を変えながら試作品を作りました。最初は手作業で少しずつしか作れず、パックは先代の社長の奥様がシール機で一つひとつ閉じていました。「品質を落とさんように、落とさんように」と、現在の社長は先代の奥様から口うるさく言われたそうです。
むろあじ節や煮干しなど、うま味の強い材料が愛知の豆みそのコクを生かす、地域のだしです。国産の材料を1袋12グラムとだしの素材をたっぷり入れたことと、煎って香りを高めたことも特徴。焙煎する過程で水分が少なくなり、うま味が凝縮されます。濃いめのだしをとれば、薄味に調理してもおいしくなります。
「だしをとる」というと身構える人もいるかもしれません。水と「だしパック」を鍋に入れて3分沸騰させるだけで、気軽にうま味や香りを味わうことができます。
原料はサンプルを吟味してから仕入れをし、かつお節なら削って味をみてから使ってよいかどうかを判断しています。原料はほとんどが海から捕った天然のものですから、どうしても味のバラつきが出ますが、味をしっかりみていろんな仕入先のものをブレンドし、いつでも安定した味と香りのものをお届けしています。
外国産の原料を使うと国内のだしの生産者が減ってしまいます。「だし」の文化の衰退につながる恐れもあり、日本の文化は日本のものを使っていきたいと国産を大切にしています。
濃い味にできる顆粒だしに比べて、だしをとると香りと味も違い、ほのかな甘みと深みがあります。汁ものや煮物は「だし」をしっかりとりましょう。だしが効いているとコクがあり、塩やしょうゆが少なくてもうま味が増します。
◂ミキサー
原料を粉砕します。
◂焙煎機
その日の気温湿度で焙煎を調整します。
◂袋詰め
コープ商品と市販品はラインを変えて。
学校給食の停止により4、5月は厳しい状況でした。特に飲食店の休業で業務用の受注が半分となってしまい、大きな打撃を受けました。その間、社員は少し時間ができたので、既存商品のパッケージデザインを新たにしたり、商品開発に力を入れたりしていました。また、だしを使ったレシピの考案もしていました。
生協とのお付き合いは長く、「せいきょうだしパック」は組合員と協力しながら作り、組合員に見つけてもらった味です。量販店は売れなければ、すぐに販売を中止してしまいます。しかし生協は時間をかけて一緒に商品を育ててくれます。
コロナ禍では組合員のみなさんも家にいることが多くなり、ご家庭での食事が増えたと思います。これからも、ぜひスローフードにチャレンジしていただきたいですね。「○○の素」を使って調理をする便利さの中で、節辰商店は、単なる時短ではなく「忙しい中でも本物の味を知って、豊かな食生活を送ってほしい」という思いで日々商品を作っています。
おいしい味は人を笑顔にします。私たちは、みなさんの家族の笑顔を応援したいと思っています。
「体に優しく、おいしく、経済的」を心がけ、これからも変わらず、安心して食べていただけるいいものを作ってお届けします。
■ 具は上にのせ、かき混ぜない。
■ 決して沸騰させない。
■ 冷蔵庫で保存し、早めに使い切る。
■ だし液:たまご=1:1
水500ミリリットルとだしパック1個を鍋に入れて火にかけ、3分間沸騰させればおいしいだしの出来上がりです。コツは、煮出すときにふたをしないこと。ふたをすると蒸れた臭いになったり、生臭さが残ったりします。
一般的な顆粒だしでとっただし汁には、だしパックの6倍以上の食塩相当量が含まれています。糖分やカロリーはだしパックのだし汁のほうが少なめです。天然のだしに物足りなさを感じる方は、だしパックで濃いめにだしをとって上手に減塩しましょう。
組合員、生協、生産者・メーカーと、産地・工場見学や商品交流会などで多くの交流をしてきました。キッチンで煮出しをするときの、う~ん何とも言えないいい香り♪幸せを感じるだしの世界を、ぜひ!
節辰商店では、商品の原料はサンプルが入荷したらその場で目利きをします。目利きにかなった原料だけを取り寄せ、工場で商品にしていくのですが、この目利き、工場でも限られた社員しかおらず、長年の経験が必要だそうです。
原料は天然のもののため、同じ原料でも日によって味が違ったり、一つひとつの個体によって味が変わるそうです。また、削り節の薄削りに向いているのか、厚削りに向いているのかも違うそうです。それらの原料で「せいきょうだしパック」を作るとき、毎回安定した味になるよう微調整をしながら味を調えるのは、まさにプロの腕なのですね。
組合員のみなさんから「煮出したあとのだしパック、もったいないので使い道はないの?」とよく聞かれるそうです。確かに、かつお節や煮干し、しいたけに昆布と栄養がありそうなものばかり…。この煮出したあとのだしパック、ガーデニングやプランターの肥料として使用することができるそうです。葉物の野菜が甘くなり、最適だそうですよ!
今回のコロナ禍で社員のみなさんは、商品パッケージの新しいデザインを考えたり、だしを使ったレシピを考えたりしていたそうです。安達さんは、コープあいちの「生協たまご」を生産している株式会社クレストの山田さんと一緒に、だしとたまごを使ったレシピを考案したそうです。
みなさんもぜひ作ってみてくださいね。