JAあいち経済連・名古屋市中区
私たちの主食である米は、以前は、米穀販売の登録が必要でした。設立当初の生協はその登録がなく、組合員が地元の「米屋さん」である農協と直に交渉して、共同で購入することからスタートしました。やがて仲間が増えて利用が広がり、直買い運動の実績も功を奏し、米穀販売の登録に至りました。
1980年代、生協では農産物の安全・安心を求めて産直運動をすすめていました。1990年代になると、産地偽装や表示のあいまいさもあり、栽培内容に見合った表示の必要が出てきました。2000年には東海コープ※の独自基準として「栽培自慢」が生まれ、「産消提携三原則」に沿って産物を通して生産者と組合員をつなぐ活動が行われています。
※ 東海コープ事業連合:コープあいちを含め東海三県の3つの生協と協同して事業や活動をすすめ、より価値の高い生協をつくり上げていく組織
以下が、産消提携三原則です。
❶「産地と生産者」がわかります。
❷産物基準を満たしています。
❸生産者と組合員が交流し、利用につなげています。
農薬や化学合成肥料の使用を減らしている産消提携米を利用することは、それだけで環境に配慮することになるのです。
生産者と交流ができることも大きな特徴です。田植えや稲刈りの交流で、田んぼの役割や米農家の現状などを学習してきました。米の利用は食料自給率のアップにもつながります。ここでしかできない貴重な体験は、大人も子どもも食について考える機会となっています。
◂農業生産法人株式会社 中甲(なかこう)社長の杉浦さん
地域の環境を維持するために環境保全型農業を長年に渡り行っている。
◂あいち米
米づくりに適した恵まれた気候風土を生かし、山間部から平野部に至るさまざまな条件に応じて、 最適な品種を選び栽培。
◂光学式選別機
光学式選別機を中心とした、ふるい・風力・磁力・振動などによる全13工程の異物除去システムで異物を徹底的に検出分離。
コロナ禍では、内食需要が増え、お米の利用は一時的に伸びましたが、実は外食での需要が高いため、消費量は減少しています。また、学校給食の停止や飲食店などの業務用需要の減少が影響し、お米の販売価格は下がっているのが現状です。現在のウクライナ情勢により、肥料や包装資材の価格は上がっているため、生産者の方々にとっては非常に厳しい状況です。
組合員のみなさんの要望と生産者の思いを橋渡しするのが、JAの役割です。お米についてよく知っていただくことで、お気に入りの一品が見つけられるよう、お手伝いできればと思っています。
愛知県はお米を育てにくい環境ながら、全国でも生産の多い県です。しかし最近は稲作面積が減っています。田んぼにはられた水は雨風から土を守り、夏には市街地の気温上昇を抑えます。また、さまざまな生き物を育むなど、生態系を保護し、環境を守ります。毎年、産消提携米の産地で田植え・生き物観察・稲刈りを実施しています。交流会では、お米や稲作の大切さについて伝え、こだわりにも触れていただきたいと思っています。
未開封にかかわらず、できる限り早めに食べることをおすすめします。
熱いうちに1食ずつラップで包んで冷凍し、使うごとに電子レンジで解凍しましょう。ごはんの包み方は、丸く、均一な厚みで平らに。こうすることで、レンジで解凍するさい、均等に解凍されます。
組合員、生産者・メーカー、生協と、工場見学や調理実習で多くの交流をしてきました。
ごはんだけの味わいを楽しむのも、この季節ならではですね。
産消提携米
あいちのかおり 5kg►
農作物でよく使われる「早生」とは、「農作物・果実などで、成熟期・結実期の早いもの」という意味です。米の場合は、早い時期に田植えをして、早く収穫するのを早生と言います。ちなみに、遅く植えて、遅く収穫するのを「晩生(おくて)」、その中間のものを「中生(なかて)」と呼びます。
今回ご紹介した「愛知のコシヒカリ」は早生で、もう1品紹介した「あいちのかおり」は「中生」になります。「あいちのかおり」は県内約4割の作付けとなり、学校給食で食べられています。
※「早稲」とも書きます
愛知県では、海抜0m地域から標高700mの山間地域まで、地理的条件を生かして、いろいろな品種が作付けされています。米の栽培には、一日にある程度の日照時間と昼夜の寒暖差が必要ですが、最近の温暖化で愛知県も気温が高くなり、東北エリアに比べると決して米を育てやすい環境とは言えません。それでも、全国20位※と、米の生産県です。
※令和3年産の作付面積
愛知県で栽培される米は、このような地域に対応できるよう品種改良によって開発されており、米の質や食味の向上、病気や気候変化に強く、農家が栽培しやすい米を開発するために行われています。
しかし、育てやすく、出来高のいい米ばかり作ればよいという訳ではありません。同じ品種の米ばかり作っていると、収穫時に人手が足りなくなり、適期収穫ができず刈り遅れによる品質の低下や収量減が起こってしまいます。また、異常気象や病害虫が発生した際、一度に同様の被害が出てしまうため、収穫時の異なる品種を開発し、作付けするのです。
愛知のコシヒカリのような早生の米は、伊勢湾台風を境に、お盆前に稲刈りできるよう開発されたそうです。
米の栽培は、収量や品質を安定させるため、稲を病害虫や雑草から守らなければならず、そのためには少なからず農薬や肥料の力が必要になります。化学的に合成された農薬や肥料を使用しない有機栽培もありますが、除草剤を散布しない分、草刈りなどの手間は増えますし、人手も必要です。温暖化がすすむ中、夏場の農作業は想像以上に厳しい環境で、稲作に限らず農作業中の熱中症になる方もいらっしゃいます。
昨今のSDGsの取り組みで、環境に配慮した米の需要は高まる一方で、農業人口の高齢化がすすみ、人手不足が課題になっています。生協の「産消提携米」は、そんな状況の中でも生産者の方々が手間ひまかけて作る、こだわりの米なのです。農薬や化学合成肥料の使用を減らしている「産消提携米」を利用すれば、安全・安心はもちろん、環境に配慮することもできるのです。
株式会社中甲(なかこう)の動画はこちらから
JAあいち海部の動画はこちらから
本誌でも載せたとおり、無洗米はいいことずくめです。
❶誰でも簡単・・・とがないので、水を入れて炊くだけ
❷時間短縮・・・とぐ手間がかかりません
❸節水・・・とぐ水入らず
❹経済的・・・肌ぬか※が取り除かれているので、5kgすべて炊飯できます(5kgの精白米で食べられるのは4.85kg)
❺環境にやさしい・・・とぎ汁が出ないので水を汚しません
※精白米の表面に残っている粘着性の高いぬか
とぎ汁には、窒素・リンが含まれています。下水処理場が完備されている地域では、汚濁物質はほとんど除去できますが、窒素とリンは完全に取り除くことができず、川や海に流されます。これが植物性プランクトンのえさになり、赤潮やヘドロの堆積など、水質汚染の原因になっています。とぎ汁を出さない無洗米は「水質汚染の防止」につながり、海や海岸の生態系の保護にもつながります。
他にも、災害時に最小限の水量で炊飯ができたり、無洗米にする際に出た肌ぬかは、石鹸や肥料などに再利用されるなど、利用することでSDGsに貢献できます。
JAあいち経済連の加藤さんは「推しのお米を見つけてほしい」と言います。「地産地消とは、地元を応援すること。利用することで来年、再来年も作り続けることができ、私たちもおいしいお米が食べられるのです」と。
「お米に興味を持って、いろいろ試してみてほしい。好きなお米を見つけ、お米をいっぱい食べてほしい」と話してくださいました。
パールライス安城工場の動画はこちらから