のだみそ株式会社・愛知県豊田市
1960年代、みそ造りはゆっくり木桶で醸造する方法から、短期間で大量生産する方法への転換期でした。伝統製法を守っていきたい野田味噌商店と、環境汚染や食品公害の中、安全・安心なみそを求める組合員の思いが一致し「CO・OP 豆みそ」は誕生しました。
現在、木桶で天然熟成させる醸造法のみそ造りは全国で3%以下といわれています。約400本の大桶で18カ月以上、暑い夏や寒い冬を経験したみそには、塩カド(ツンとした塩辛さ)がとれた甘味的な底味が生まれてきます。これは短期間で製造された多くのみそには生まれてきません。これが創業以来、天然醸造にこだわり続けてきたのだみその豆みその、深い味わいと風味の秘訣です。
みそは熟成する間に、みそ自身がコクや香り、うま味を出していきます。このことから、みそは造るものではなく「育てるもの」と考えています。この土地や気候風土が育み、みそ本来の風味が楽しめる、それが「豆みそ」なのです。
また、食育の一つとして25年以上も前から子どもたちのみそ蔵見学を受け入れてきました。これも組合員との活動がきっかけでした。これからを背負う子どもたちのためにも、不便で、面倒くさい、手間のかかることの大切さを伝えています。ただ、そのことを知らないといけないのは、実は大人の方なのです。どんなに忙しくても、朝一杯のみそ汁を飲む「間」を持って、心のゆとりを取り戻してみませんか。
◂組合員のみそ蔵見学
生協創立当時(1970年初頭)。1977年、東海地域に「CO・OP 豆みそ」が誕生。
◂みそ玉
大豆だけでみそ玉を作り、大豆に直接麹菌を付ける。みそ玉を黄色く覆っているのが麹菌。
◂踏み込み
みそのもとを詰める作業。天井の高さほどある桶の中で、足とスコップを使って踏み込む。
のだみそ株式会社のみそは、愛知県内の多くの保育機関や学校の給食に提供しています。今回のコロナ禍では急な給食の中止で、出荷予定だったみそが行き場を失いました。対策として、SNSを通じて販売をしたところ、全国から思いもよらぬたくさんのご注文をいただき、社員総出で対応しました。
みその価格は成熟期間の違いで決まります。のだみそでは、わが社のみその味を守りたいという思いから、昔からの製法でみそを造っています。その製造方法ゆえ、安価には製造できません。組合員のみなさんには、その価値を理解し、利用していただいています。
全国でのみその需要は毎年少しずつ減少していますが、豆みそ自体の需要は増えており、海外への輸出も増えています。豆みそは、全国各地のみそと比べても塩分が少なく、栄養価に優れたみそです。みそ汁はもちろん、調味料としても使用していただきたいと思います。
ゆずを、レモンの代わりに入れれば、なおGood!
合わせみそは、コクを出す豆みそと、お好みのみそを2種類以上ブレンドするのがオススメ!
例)
●にんにく+しょうが =ポカポカしょうがみそ鍋
●ごま+ラー油 =ピリ辛ごまみそ鍋
●にんにく+ごま油+キムチ =コクうまみそキムチ鍋
肉みそに、お好みでにんじんやしょうがを入れてもおいしいです。
しじみの旬は1~2月は寒しじみ、7~8月は土用しじみと言われています。
もちろん、あさりでもおいしいですよ。
豆みそは熟成が長いため、溶けにくいので、しっかり溶きましょう。
みそかつ、五平餅など、お好みに合わせてお使いください。
冷蔵庫に入れて保管してください。
豆みそは熟成が長いため、溶けにくいので、しっかり溶きましょう。
1杯150mlのみそ汁(水600mlに豆みそ大さじ2)の食塩相当量は約1gです。また、みそから取る塩分は、食塩を直接取る場合に比べて血圧への影響が少ないという報告もあり、みそ汁の具(野菜)も塩分の排出を助けます。
※100gあたりの食塩相当量<日本食品標準成分表2015版(七訂)より>
豆みそ:約10.9g
米みそ(淡色辛みそ):約12.4g
米みそ(赤色辛みそ):約13.0g
組合員、生産者・メーカー、生協と、工場見学や調理実習で多くの交流をしてきました。
みそ汁は火を止めてからみそを入れると風味が飛びません。野菜たっぷりのみそ汁で、一日元気に!
※大豆の産地を東海地域に限定した豆みそもあります。
右:【CO・OP】豆みそ(東海地域産大豆使用)750g
今回の取材では、のだみその中川さんと堀木さんにお話をうかがいました。中川さんは長く生協を担当されており、組合員のみなさんとの交流会や職員の学習会で、毎回豆みそへの熱い思いを語ってくださいます。のだみそはみそを造るのではなく、「育てる」と言います。社員のみなさんが同じ思いで、大切に大切にみそを育てているのです。のだみそのみそ蔵の中には、なんとオルゴールの音が流れているのです!
のだみそ近くの小学校では、5年生の冬に中川さんたちが先生となって、みその学習会が行われます。6年生の春にはみんなでみそを仕込み、卒業を迎えるまで教室で育てます。「クラスの笑い声を聞いて育つみそと、ケンカする声を聞いて育つみそとでは、違いが出るかな?」と説明しながら、みそ造りを教えるそうです。仕込んだみそに名前をつけるクラスもあるとか。約1年大切に育てられたみそは、卒業のころクラス写真を撮ると、みんなの真ん中に、まるで仲間のように写っているそうです。中川さんはその写真を見ると「大切に育てられたのだな」と、とてもうれしく思うそうです。
以前、コープあいちの企画でみそ造り体験を行ったとき、体験した組合員が帰り際にそっと手紙を置いて行かれたそうです。その手紙には、温かな絵と言葉が添えられていて、とてもうれしかったそうです。
堀木さんはのだみそでは初の女性蔵人(仕込み担当)です。みそ蔵を見学したことがある編集部は、みその仕込みの大変さを多少知っています。堀木さんのきゃしゃな体のどこにそんな力が?とびっくり。なぜ蔵人に?「みそが好きで、醸造業に携わりたく、職人になりたかったから」と堀木さん。体力が必要な仕込みの作業、最初の1年は毎日筋肉痛だったそうです。堀木さんの奮闘記が、のだみそのWebサイトに掲載されていますので、ぜひご覧ください。
豆みそ、赤みそ、八丁みそ…いろいろな呼び方がある、この地域独特のみそ。戦国武将も好んだ(?)歴史と文化のあるこのみそを、次世代につないでいきたいですね。