丸千水産株式会社・愛知県蒲郡市
1970年代半ば、「地場の新鮮な魚が欲しい」という組合員の要望から、地元の丸千水産とのお付き合いが始まりました。三河エリアはえび加工産業が全国一盛んな場所。丸千水産は早くから輸入えびの取り扱いを始めており、1990年代後半には安全・安心なえびを求めてインドネシアのタラカン島での「粗放養殖」にたどり着いていました。当初、生協で取り扱っていたえびは人工池での過密養殖だったため、「自然な環境で養殖されたえびがいい」という組合員の声に応えるため、この「粗放養殖」のえびを扱うことにしました。「粗放養殖」は自然の地形を生かした養殖池を活用し、抗生物質はもちろん餌も与えません。潮の満ち引きによって流れ込むプランクトンが餌になります。池が汚れず環境に配慮した方法で育てられています。
ブラックタイガーえびの特長は、何といってもプリプリとした食感です。その食感を損なわないよう、産地1回凍結のシングルフローズンで届けています。シングルフローズンは組合員に届くまで一度も解凍しないため、鮮度がよく品質劣化がありません。解凍と凍結を繰り返すダブルフローズンでは、うま味や食感が逃げてしまいます。コープのブラックタイガーえびは1尾ずつバラ凍結なので、使いたい分だけ取り出して利用できます。下ごしらえ済の商品は加工してあるので、調理時間短縮でごみも削減できます。
産地・流通ルート・加工工場は1年に1回、点検・記録の確認を行うなど徹底的に管理し、組合員のみなさんに安全と安心をお知らせしています。
◂植樹に参加した生協職員(2015年)
組合員の利用による支援は、年間2000本のマングローブ植樹の費用になっている。
◂「コープの森づくり」
このマークがついた商品の利用で、1品に対して1円を支援。商品産地での植樹を通して、海を守り育てる活動に役立てる。
◂インドネシアの加工工場
衛生管理・品質管理の行き届いた現地の指定工場で加工している。
以前、組合員から「えび養殖はマングローブを伐採して養殖池を作り、環境を破壊しているのでは」と質問されました。もともと漁協を通して地元の豊川水系に植樹していたので、この組合員の思いも受け止め、産地の植樹を考えていたところ、現地メーカーから声が掛かり2007年からマングローブの植樹活動に参加しています。東海コープも全国に先駆けて、2009年から活動してきました。また当社では、品質や鮮度など産地の思いを100%商品にしようとしてきました。「浜の恵みを大切にしたい」「よいものを届けたい」という気持ちは三河湾でも海外でも同じです。商品作りや植樹活動などの交流で、協力し合える関係ができていると実感しています。
「組合員のくらしを豊かに」は自分たちだけではできません。虹の会※2のみなさんとタッグを組んで、工夫しながら商品のこだわりを伝えていきたいです。みなさんに案内しているものは全てに背景があります。それを伝えながら「組合員にとってよいものか」を念頭にこれからも商品作りをしていきます。
※2 コープの生産者・メーカーの会(約200社が加入)
■ レモン果汁の働きでえびの臭みが抜け、同時に身が引き締まります。
■ ❷のポリ袋に漬け込んだえびとソースは、冷凍用保存袋に入れれば、2週間程度冷凍保存可能です。
■ 油で揚げる前に、えびを軽く握るようにしてしっかりクラッカーをつけます。
※写真は1人用の鍋に記載の半量で盛り付け、たまご1個を添えています(1人分あたり634kcal、塩分5.5g)
(1人分あたり180kcal、塩分1.8g)
おすすめ解凍:冷蔵庫に半日ほどおいてゆっくり。
ちょっと時短解凍:袋のまま流水で。
おいそぎ解凍:袋から取り出し、40℃以下のぬるま湯に数分間つける。長時間水に浸すと、水分を吸ってうま味が逃げてしまいます。
ボウルやポリ袋にえびを入れ、少々の塩、または酒でもみます。
片栗粉をまぶしてもんだ後、洗い流すと臭みをおさえられます。
組合員、生産者・メーカー、生協と、工場見学や調理実習で多くの交流をしてきました。
フライ、エビチリなど、メイン料理にもってこい!「コープの森づくり」マーク付きのエシカル商品をぜひ!!
少量パックはこちら。
ブラックタイガーえび 大(下ごしらえ済) ►
160g(10~11尾)
「マングローブを伐採してえびを育ててるんだよね」「えびの養殖は環境を破壊しているから、私は食べないわ」組合員のこの思いをどう受け止め、自分たちにできることは何かを考えていたとき、現地のえび加工会社が、行政と国際環境保護機構(WWF)と共に立ち上げたプロジェクトに参加することにしました。
インドネシアでは無計画に養殖池を拡大してきたことで、その土地本来の自然の豊かさが失われつつあることが問題になり、また、マングローブの減少に伴い、暴風や高波などの悪天候による被害も深刻化。地域の人々の生活やえび養殖にも影響が及んでいました。
組合員のみなさんの利用で植樹されたマングローブも、現在は5万本まで増えました。近年では、土壌がきれいになり、動物や干潟の魚が戻るなど、自然の生態系が回復してきているそうです。自然の地形を生かした養殖池で、自生するプランクトンを餌に育てる粗放養殖。潮が満潮になるたびに池の水が入れ替えられ、水質も良好なため豊富な餌に恵まれ、ストレスのないブラックタイガーえびが育ちます。マングローブの植樹は、えび養殖の改善を通じて、生態系の保全と地域住民の持続可能な生計の確立をめざす取り組みなのです。
(参考資料:WWFジャパンWebサイト)