内堀醸造株式会社・岐阜県加茂郡八百津町
内堀醸造とは旧めいきん生協発足時からのお付き合いです。1969年、新聞に小さく掲載された「めいきん生協発足」の記事を見つけた社長(現会長)が「ちゃんと発酵した酢を扱いませんか」と生協を訪ねて来られたのが始まりです。当時は合成酢※が食酢として出回っていました。安全・安心でおいしい酢を望む組合員と対話を重ね、生協の醸造酢が誕生したのです。
酢はその字の通り「酒」が発酵して出来上がることから、元になる酒の醸造を大切にしてきました。自社で精米し伝統的な手法で本格的な酒造りをしています。原材料に独自の加工を行うことで高品質な商品を作り上げ、一貫した生産体制は安全・安心な商品作りにもつながっています。
※ 氷酢酸または酢酸の希釈液に砂糖類、調味料、食塩等を加えたもの。
酢造りに欠かせないもの、それはきれいな水と空気と酢酸菌です。山間の自然豊かな地で、酢酸菌が最も活発に働くよう、培ってきた経験と最新の技術で温度を管理し、環境を整えています。その後、熟成期間を経ると酸味がまろやかな酢に仕上がります。それぞれの工程をきちんと管理することで、味や風味などいつでも同じ品質の商品を作り出すことができます。
さまざまな角度から酢のよさを広める活動をしている内堀醸造ですが、その原点は組合員との対話です。「すし酢祭ばやし」も「昆布だしを合わせたすし酢がほしい」という組合員との会話がきっかけでした。他にも組合員との交流から「CO・OP純米酢」や「煮こみ酢」など、多くの商品が改良・開発されています。
◂内堀醸造本宅
1876年(明治9年)に内堀商店として創業。145年の歴史をもつ。
◂製麹機
暖かい部屋で蒸した米に麹菌をつけ、約2日間かけて米麹を育てる。
◂酢いろいろ
米酢などの穀物酢、りんご酢などの果実酢の他、最近はワインビネガーも人気。
コープあいちの担当になって15年になります。担当になった当時は、交流会で酢の活用方法をお伝えしようにも、きゅうりの切り方すら知らず、組合員に教えてもらうほどでした。
コロナ禍になる前、交流会や学習会は朝のあいさつのような、ごく当たり前のことでした。しかし、開催できなくなり、みなさんの声や商品の改善点などを聞けなくなってしまいました。これまでも交流会や学習会は貴重な機会だと考えていましたが、あらためて組合員のみなさんに会うことの大切さを実感しました。
コロナ禍で業務用の酢の需要が止まってしまいましたが、家庭用は利用が増えました。家庭で手巻き寿司を作られる方が多かったようですし、男性が調理することが増えたのか、バルサミコ酢やワインビネガーなど、普段使う酢とは少し違う酢が人気です。内堀醸造でもそれらの酢の情報やレシピを、SNSで発信し始めました。
組合員のみなさんに向けても、交流会や学習会に代わる「キャラクターの飾り巻き寿司」や「今さら聞けない酢の話」などのオンライン学習会を開催しました。
みなさんと一緒にコロナ禍を乗り越え、これからも変わらず、酢を通じてくらしに貢献したい、新しいくらしに沿う商品を提供したいと思っています。交流会や工場見学が再開された今、みなさんに浴びるほどの酢の話をしたいと思っています。
■ ミニトマトを中間に刺し、最後をにんじんなどにすると外れにくいです。
■ 串の先が出ていると袋が破れてしまうので、先が出ないように野菜を刺しましょう。
■ 型の半分の高さを目安に、スプーンなどで押す。
▲牛乳パックの型
■ 忙しいときは「あと一品!!ごろっと唐揚げ」を使えば時短になります。
■ミニトマトは電子レンジで加熱する際に破裂しないよう、必ずつまようじで穴を開けましょう。
ツンとした匂いが苦手な場合、火にかけて80℃くらいに温めると匂いが飛び、まろやかになります。酢の成分は沸騰しても壊れないので、栄養は失われません。
1日大さじ1杯(15cc)取ると、健康によいといわれています。朝・昼・晩に5ccずつ分けてもOKです。いつも使う調味料に酢を混ぜると毎日無理なく取り続けることができます。
【割合】しょうゆ:酢=9:1
組合員、生産者・メーカー、生協と、産地工場見学や学習会で多くの交流をしてきました。
「体にいいコト」がいっぱいあるといわれる酢の力。気軽に使って、自然に体に取り入れ、健康増進!
生協の前任担当者の木田さん。新型コロナウイルス感染症が拡大する前、木田さんの某有名キャラクターの飾り巻き寿司の学習会は引っ張りだこでした。木田さんいわく「目をつぶっていても巻けるほど、何本も巻きました(笑)」
コロナ禍で組合員との交流ができなくなり、巻き寿司の学習会も1年以上行われませんでした。リモートで仕事をする人が増え、お父さんが家にいる機会も多くなったので、お父さんでも作れる “ キャラクターの飾り巻き寿司 ” の学習会を検討しました。
「お父さんが飾り巻き寿司を作れたら、かっこよくないですか?お父さんの株が上がること間違いなしです!」
内堀醸造のオンライン学習会の開催、どうぞお楽しみに♪
コープの酢を造る工場を標高740mの長野県飯島町に建設を決めたのは、酢造りに大切な、水と空気と微生物がそろった場所だったから。
「酢造りは酒造りから」。おいしい酒を造るには、おいしい水がなければいけません。内堀醸造は工場の周囲の山々の一部を購入し、森林を保全。酢造りの水を守っています。広大な敷地の真ん中に建つアルプス工場は、静かな森林に囲まれ、豊かな自然を感じることができます。編集者は見学の際、その話を聞き「そこまでして」と感銘を受けました。
長く生協の組合員と交流する中で、「組合員はどう思っているのか」「どうしたら声に応えることができるのか」をまずは考えて取り組まれてきたそうです。これからも変わることなく「明日はよりおいしい酢をお届けできる」と信じ、組合員のお役に立つよう酢造りに取り組んでいます。