たくさんのおいしい食べ物の誘惑に負け、つい食べすぎたかなと感じているとき、気になるのはダイエットの話題。最近では、低糖質ダイエットがはやりのようです。
この方法、本当に効果的なのでしょうか。
糖質とは、炭水化物という栄養素のうち、食物繊維以外のものをまとめた総称です。炭水化物は、ごはん・パン・麺類・いもなどに多く含まれています。そのため、「低糖質ダイエット=主食を抜く」のイメージがあるようです。
糖質は、摂取すると体内でエネルギーを産生します。エネルギーは、私たちが動いたり、じっとしている間でも呼吸をしたり、臓器を動かしたりするために使われており、生きていくために必要なものです。けれども、摂りすぎると体内で脂肪に変えられて蓄えられ、体重が増えます。この糖質から摂取するエネルギーを控え、ほかにエネルギーを産生する脂質やたんぱく質などから摂取しましょうというのが、低糖質ダイエットの考え方のようです。
体重が増える原因は、体内に余分なエネルギーが存在していることにあります。単純に考えれば、エネルギー摂取量を減らせば体重は減るわけです。それならば、糖質に限らず、たんぱく質でも脂質でも、他のエネルギーを産生する栄養素を減らしてもよいはずです。それでも、低糖質ダイエットは他のダイエット食に比べて効果的なのでしょうか。それを調べるには、低糖質食と他のダイエット食の効果を比較する必要があります。
肥満の人たちを低糖質食と他のダイエット食(低脂質等の対照食)を摂取する群に分け、それぞれの群の体重変化を調べた結果をまとめた研究があります(文献1)。研究( A ~ S )ごとに、研究実施前後の体重の変化量を図1に示しました。どの研究でも低糖質群で体重の減少が見られます。ところが、対照食群でも体重は減少していて、低糖質群の結果とほとんど変わりません。これらの研究から、低糖質でも他のダイエット食でも、効果はほぼ同じであることが分かります。
図1. 低糖質ダイエットの効果(19 の研究のまとめ):研究実施前と比較した実施後の体重変化量を低脂質等の対照食群(青)と低糖質群(赤)で示しています。それぞれの研究期間は異なりますが、どのグループでも体重の減少が見られ、その効果に大きな違いはないことがわかります。
結局、摂取している栄養素の内容に関わらず、エネルギーをとりすぎれば太り、摂取を控えればやせるのです。