
コープあいちの食育
コープあいちでは、これまでさまざまな
「食育」の取り組みを行ってきました。
これからも、誰もが住み慣れた地域で、
生涯健康にくらし続けられるように
協同の事業と活動を通じて
「食を営む力」を大切にしていきます。
ENJOY EAT
コープあいちの食育の考え方
大切にしたい視点
内容
-
食の安全・安心
科学的根拠に基づく情報提供や
意見交換の場を通じて、
「食を選ぶ力」を身につけます。 -
いくつになっても
健康を意識食習慣や健康を考えるきっかけとなる場を
地域で広げます。 -
未来を担う子どもを
中心学習や体験活動を通じて、五感を大切にし
「食を営む力」を育みます。 -
多様な
くらし方に対応くらしの変化に伴う家庭環境の違いなどを認識し、
栄養バランスを考えた食育を推進します。 -
食の循環・
環境を意識農体験などを通じて、生産者と組合員の交流を
すすめます。また、食品ロスの削減や
環境に配慮した商品の取り組みを推進します。
おいしく食べよう
食育に関わる人材づくり、ツールの開発・活用方法などの情報提供、
メーカー・生産者や地域の諸団体とのつながりを大切にすすめます。
-

ひと
食育に関わる人材づくり
-

もの
ツールの開発・
活用方法などの情報提供 -

つながり
協同組合、メーカー・生産者、
行政・地域の諸団体
VEGETABLES
野菜を食べよう
みなさんは毎日の食事で野菜をたくさん食べていますか?
野菜をおいしく食べられる保存方法やレシピを紹介します。
- キャベツ
-
この時期はより一層甘味が増しておいしくなるキャベツ。煮込みはもちろん、生食にも向いているため、幼児にもチャレンジしてほしいです!
キャベツの栄養素
キャベツはビタミンC・ビタミンU・ビタミンKを多く含んでいます。
- ビタミンCは大きめの葉を1枚食べれば1日の必要量の半分以上を摂取できます。(44mg/100g)
- ビタミンU(キャベジン)は、胃や十二指腸の健康を保つといわれています。
- ビタミンKには血液凝固作用があり、止血が早くなり、かすり傷などの治りが早くなる効果が期待できます。
おすすめレシピ

保存方法
- 保存に適した温度
- 0 ~ 5℃
- 弱点
- 高い温度は苦手です。
カットすると傷みやすくなります。
カットしたもの
断面をラップで包み冷蔵庫の野菜室または冷蔵室で保存。丸のまま
冬は新聞紙で包み風通しがよく涼しい所へ。
夏はポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ。野菜・果物のプロからのアドバイス
白菜やキャベツを保存するときには、成長を止めるために芯に切り込みを入れる「芯止め」という方法もあります。
- トマト
-
夏が旬と思いがちなトマトですが、あまり暑さには強くない野菜のため、日差しは強くても気温はそこまで上がらない春と秋、初冬が旬の時期となります。
トマトには大きく分けて大玉トマト・中玉トマト・ミニトマトとあり、その中でもさまざまな味・色・形のものが出回っています。大玉トマトの中でも先がとがっているのが特徴のファーストトマトは「あいち伝統野菜」に選定されています。トマトの栄養素
- トマトの赤い色素成分「リコピン」はカロテノイドの一種で、高い抗酸化作用があり、免疫力アップや発がんを抑える効果があるといわれています。
- 粘膜や皮膚を強くし風邪予防に作用するβカロテンや、余分なナトリウムの排出を促すカリウムも多く含まれています。
おすすめレシピ

保存方法
- 保存に適した温度
- 【追熟するまで】10~20℃
【追熟後】7~10℃
- 弱点
- 冷やしすぎると低温障害を起こします。
青みがあったら常温で追熟させましょう。夏なら一晩で真っ赤になります。
野菜室で保存する場合は、冷え過ぎないよう新聞紙で包みます。
野菜・果物のプロからのアドバイス
トマトは熟しておいしくなる野菜です。追熟が必要なのか、ヘタのまわりに傷がないか、届いたときの状態を見ることが大切です。傷がある場合は、早めに食べましょう。
まれにヘタのまわりが黄色くなっていることがありますが、これは日光によく当たると起こる現象で、その部分は熟しても赤くなりません。
- にんじん
-
野菜の中では圧倒的にカロテンの量が多いにんじん。ひと昔前のものと比べると、独特なにおいが減りました。
にんじんの栄養素
- カロテンには主に3つの効果が期待できると言われています。
1.皮膚粘膜の保護
2.肌の若さを保つ
3.がん・動脈硬化・心臓病などの予防 など - カロテンは脂溶性のため、油と一緒に調理するとよいでしょう。
おすすめレシピ

保存方法
- 保存に適した温度
- 0 ~ 5℃
- 弱点
- 風にあたったり乾燥したりすると黒ずんできます。
乾燥して表面がしわしわになることも。
お届けの「Pプラス」※またはポリ袋に入れて、冷蔵庫の野菜室または冷蔵室で保存しましょう。
冷風や乾燥に弱いので、ポリ袋の口をしっかり閉じるのがポイント。野菜・果物のプロからのアドバイス
洗いにんじんはデリケート?
きれいに洗えば皮をむく必要はありません。収穫後に土を洗うときに、皮も少し削り取っているからです。しかし、そのために表面はとってもデリケートになり、乾燥や風に弱いのです。
- カロテンには主に3つの効果が期待できると言われています。
- きゅうり
-
きゅうりのような夏が旬の野菜は、体を冷やす効果があるといわれています。また95%以上の水分を含むことからも、昔から水分補給や体を冷やしてくれる食物として取り入れられてきました。
きゅうりの栄養素
- きゅうり1本(100g)に含まれるカリウムの量は200mgで、1日に必要な量の約10%をとることができます。カリウムは利尿作用があり、ナトリウムの排出を促してくれるため、高血圧の予防になるといえます。
おすすめレシピ

保存方法
- 保存に適した温度
- 10~15℃
- 弱点
- 冷やしすぎると低温障害をおこし、
中が変色することがあります。
冷えと乾燥を防ぐために、ポリ袋に入れ、野菜室で保存しましょう。
冬場は、ポリ袋に入れて室内でもOK。
「Pプラス」※に入っている場合は、そのまま保存がおすすめです。
野菜・果物のプロからのアドバイス
おいしさを失いやすい野菜なので、早めに食べるのがおすすめです。
- レタス
-
レタスは全国で栽培されているため年中食べられますが、春と秋が多く出荷されています。
レタスにはいろいろな種類があります。玉レタスは淡色野菜、サニーレタス・サラダ菜などは緑黄色野菜の仲間に入ります。レタス(玉レタス)の栄養素
- レタスは95%が水分であまり栄養がない…といわれていますが、わずかですがカリウムやビタミンEなどを含んでいます。カリウムは体内の余分なナトリウムを体外に排出してくれるため、高血圧の予防効果があり、ビタミンEは抗酸化作用が高いため、老化防止にも役立つとされています。
おすすめレシピ

保存方法
- 保存に適した温度
- 0 ~ 5℃
- 弱点
- ぬれた所から傷みます。
新聞紙で包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室または冷蔵室で保存します。
野菜・果物のプロからのアドバイス
切り口が赤くなるのは、酸化してしまうからです。
切り口を食塩水やレモン水につけると、酸化を遅らせることができます。外側の硬い葉は、レタスを運ぶときに傷がつかないようにつけています。少し硬いですが、炒め物などにすると食べられます。
- なす
-
なすには体を冷やす作用があるため、体内に熱がこもりやすい夏の時期にはぴったりの野菜です。
なすの栄養素
ほとんどが水分ですが、ビタミンB群・ビタミンC・カリウム・食物繊維なども含まれています。皮には抗酸化作用のあるポリフェノールを含んでいます。
おすすめレシピ

保存方法
- 保存に適した温度
- 10 ~ 20℃
- 弱点
- 乾燥や低温に弱く、冷えすぎると中が黒く変色します。
温度帯が最適ならば、
乾燥しないようポリ袋に入れて常温で保存しましょう。冬場、室内が低温になる場合は、
ポリ袋に入れた上から防寒のため新聞紙で包みましょう。
- 小松菜・ほうれん草
-
ママから幼児食期のお悩みでよく聞くのが、「緑の野菜を嫌がります」です。
小松菜・ほうれん草は鉄分を多く含み、またβ-カロテン・ビタミンCの宝庫ですので、ぜひチャレンジしていただきたい食材です。小松菜・ほうれん草の栄養素
- 鉄分は赤血球を作る材料になり、貧血予防に役立ちます。
- がんや動脈硬化の予防になるβ-カロテン、風邪予防や肌荒れ予防になるビタミンCも含まれています。
おすすめレシピ

保存方法
- 保存に適した温度
- 5 ~ 10℃
- 弱点
- 乾燥に弱いので使い残したときは袋を密閉して保存しましょう。
ぬらした新聞紙で包みポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に立てて保存します。
「Pプラス」に入っている場合は、そのまま保存がおすすめです。
野菜・果物のプロからのアドバイス
葉を上にして立てて保存するのが難しいときは、冷蔵庫のドアポケットに入れるといいですよ。
- さといも
-
おすすめレシピ

保存方法
- 保存に適した温度
- 7 ~ 15℃
- 弱点
- もともと南国の野菜なので寒さと乾燥に弱いです。家庭での保存は難しいので、早めに使いましょう。
低温を嫌うので、冬場は袋から出して新聞紙で包み、土付きのまま常温または冷蔵庫の野菜室で保存。カビが生えないように注意しましょう。
- れんこん
-
れんこんは根菜類としてあげられることが多いですが、実は蓮の地下茎。お正月などお祝いのお料理によく使われますが、硬いのでお子さんは嫌がることも。切り方に工夫して調理してみましょう。
れんこんの栄養素
- ビタミンCを多く含みます。れんこんはでんぷん質のため、加熱調理をしてもその量は減りにくいです。
- れんこんを切った時に引く糸は、納豆のネバネバと同じ成分です。粘膜の強化をしてくれるため、胃炎や胃潰瘍の予防・のどを保護して風邪予防などが期待できます。
おすすめレシピ

保存方法
- 保存に適した温度
- 5℃前後
- 弱点
- 光や乾燥を嫌います。
ぬらした新聞紙に包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室または冷蔵室で保存します。
野菜・果物のプロからのアドバイス
土付きれんこんの土は、何のため?
れんこんの土は、乾燥を防ぎ鮮度を維持します。
また、輸送の時にはクッションになって傷つくのを防ぎます。
- きのこ
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年中安定して手に入り、いろいろなお料理に使えるきのこ。食物繊維が豊富ですが、小さなお子さんには食べにくかったり…。でも、ちょっとした工夫次第でたっぷり使うことができますよ。
きのこの栄養素
- 「食物繊維」を豊富に含んでいます。
特に不溶性の食物繊維が多く、便通をよくしてくれます。 - 他にもビタミンB群・ビタミンD・カリウムなども含みます。
おすすめレシピ

保存方法
えのき
- 保存に適した温度
- 0 ~ 5℃
- 弱点
- 水分が苦手です。
未開封なら冷蔵庫の冷蔵室(5℃)で、立てて保存しましょう。えのきは水分量が多く、傷むのが早いので気を付けましょう。
しめじ・まいたけ・えりんぎ
- 保存に適した温度
- 5 ~ 10℃
- 弱点
- 水分が苦手です。
冷蔵庫の野菜室で保存し、開封後は、湿気を嫌うので ポリ袋に入れ口を閉じて保存してください。
野菜・果物のプロからのアドバイス
きのこは洗わなくても大丈夫。気になる人は調理直前にほこりなどを洗い流す程度でいいですよ。でも洗ったらすぐに使ってください。
きのこの長期保存には冷凍がおすすめ!
- えのき、しめじは石づきを落として、まいたけはそのまま、それぞれほぐす。えりんぎは使うときの状態に切る。
- フリーザーバッグに薄く板状に入れて冷凍。
- 「食物繊維」を豊富に含んでいます。
- 長いも
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ヤマノイモ科の栽培種。「肥大した地下茎」の通称で「ヤマノイモ」とまとめて扱われることが多いです。
長いもは程よい粘り気でアクが少ないため、そのまますりおろしたり、千切りにしたり生でおいしく食べられます。火を通すと食感の変化が楽しめる、アレンジ自在な野菜の1つです。長いもの栄養素
- 3大栄養素の1つである炭水化物の割合が多い食品です。亜鉛・カリウム・鉄などのミネラル成分が豊富で、さらに女性にうれしいビタミンB群・ビタミンCも含まれています。
- 食物繊維やアミラーゼ、ジアスターゼなどの消化酵素、粘膜の保護やさまざまな病気の予防に働きかけるぬめり成分も含まれています。
おすすめレシピ

保存方法
- 保存に適した温度
- 0 ~ 5℃
- 弱点
- カットしたものは断面から傷むので早めに使いましょう。
1本丸ごとの場合は新聞紙に包んで冷暗所または野菜室で保存。小さくカットされたものは早めに食べるようにしましょう。
野菜・果物のプロからのアドバイス
- 産地では土付きで保存
産地では秋の収穫後、土付きのままコンテナに並べ、乾燥しないようにして2℃の冷蔵庫で保存しながら1年間出荷していきます。 - 冷蔵保存の場合
全部使いきらない場合は断面から腐敗が始まるので、切り戻して※少し切り口を乾燥させてからラップし、野菜室または冷蔵室にて保存してください。
(※切り戻し…切り口を新たに切ることで、新しい断面を出すこと) - 冷凍保存の場合
すりおろしてフリーザーバッグに入れ、平らにして冷凍しましょう。食べる前に冷蔵室に移して自然解凍すればそのまま食べられます。
- いちご
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いちごの旬は本来3~5月ですが、クリスマスシーズンの需要に合わせて、今ではハウス栽培が盛んになり、冬から春にかけて出回るようになりました。
赤いいちごの食べている部分、実は・・・果実ではないことをご存じですか?この部分は花托(かたく)(花びらや雄しべ雌しべなどを支えている部分)が発達した花の一部で、その周りにある粒々のタネの一つ一つが果実なのです。いちごの栄養素
- いちごはビタミンCを多く含み、風邪の予防や疲労・肌荒れの回復などに効果が期待できます。
- いちごの赤い色素成分であるアントシアニンはポリフェノールの一種で、眼精疲労回復や視力回復に有効とされるほか、抗酸化作用が高いため、活性酸素を減らして病気の予防につながるといわれています。
おすすめレシピ

保存方法
- 保存に適した温度
- 0 ~ 5℃
- 弱点
- とにかく日持ちしません。
水分や乾燥、接触に弱いです。
保存には向きません。届いたら冷蔵庫の冷蔵室に入れて、できるだけ早く食べましょう。
野菜・果物のプロからのアドバイス
- 洗うのもヘタを取るのも食べる直前に。
- 先端の方が熟して甘いので、ヘタの方から食べるとより甘く感じます。
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活用方法 監修管理栄養士/
山本 理江(やまもと まさえ)さん食品メーカーなど企業のメニュー開発・食育イベント等にて講師・行政にて、延べ7000人以上のママさんへ乳幼児の食指導●大学生と高校生の男の子2人をもつ、パワフルママ。
→ ブログ -
保存方法 監修野菜ソムリエ/
竹内 幸彦(たけうち ゆきひこ)さん株式会社エム・ティ
野菜や果物の加工、包装も行う青果物専門卸会社
- 野菜たっぷり!おいしい食事♪
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みなさんは、毎日の食事で野菜をたくさん食べていますか?
愛知県は日本でも有数の野菜の生産地。
なのに、野菜の消費量は最下位クラスだとご存知でしたでしょうか。
野菜をもっと食事に取り入れるには、どうすればいいのでしょう?
それには、ほんの少しのコツがあります。
どれも今日からできる、簡単なものばかりですよ。
あなたもさっそく、はじめてみませんか。
管理栄養士
熊崎 稔子さん(くまざき としこ)

管理栄養士
門松 素子さん(かどまつ もとこ)
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炭水化物(糖質)のとり方に注意
炭水化物は体に必要な栄養素ですが、食べ過ぎに注意しましょう。全エネルギーの50~60%が目安です。

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副菜を忘れずに
主食・主菜・副菜の3つのお皿をそろえるように意識しましょう。副菜は野菜をはじめとした、食物繊維が豊富な食材を使う料理が多いのです。簡単な料理で大丈夫。実践できそうなものから始めてみましょう。

ワンポイントアドバイス野菜の食べ方をひと工夫
カロテンには主に3つの効果が期待できると言われています。
1.皮膚粘膜の保護
2.肌の若さを保つ
3.がん・動脈硬化・心臓病などの予防 など
カロテンは脂溶性のため、油と一緒に調理するとよいでしょう。おすすめレシピ
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- フードロス削減×コープサステナブルレシピ
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ツナとニンジンの皮のチヂミ所要時間:15分
材料(2人分)
- にんじんの皮
- 2本分(40g)
【A】
- CO・OPライトツナカロリーハーフ
- 1缶(70g)
- 薄力粉
- 大さじ4
- 片栗粉
- 大さじ3
- 卵
- 1個
- CO・OP純正ごま
- 大さじ1
【B】
- しょうゆ
- 大さじ1
- 酢
- 大さじ1
- CO・OP有機いりごま
- 小さじ1/2
作り方
- にんじんの皮を4cmの長さに切る。
- ボウルに①、【A】を入れ混ぜる。
- フライパンにCO・OP純正ごま油を中火で熱し、
②を薄く広げ焼き色がつくようにフライ返しで押しつけながら両面焼く。 - ③を食べやすい大きさに切って、皿に盛り、【B】を混ぜたたれを添える。
- メモ
- ・にんじんの皮2本分は約30g~40gで、にんじんの皮が足りない場合は大根の皮の千切りで代用できます。(にんじんの皮 1本分(20g) に対し、大根5cm分の皮(40g) 、他材料は同様。)
CHECK
食生活を見直そう
食と健康について拡散する さまざまな情報に惑わされることなく、
健康的な食生活を送るためのコラムを掲載しています。

COLUMNIST児林 聡美(こばやし さとみ)さん
九州大学で農学修士、東京大学で公衆衛生学修士(MPH)と保健学博士を取得。ヒトの食べているものと健康の関係を明らかにする栄養疫学を専門とする。東京大学特任助教を経て、現在はHERS M&S代表として栄養疫学研究の支援を行う。
→ HERS M&Sサイト- 本当に効果的?低糖質ダイエット
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本当に効果的? 低糖質ダイエット
たくさんのおいしい食べ物の誘惑に負け、つい食べすぎたかなと感じているとき、気になるのはダイエットの話題。最近では、低糖質ダイエットがはやりのようです。
この方法、本当に効果的なのでしょうか。低糖質ダイエットとは?
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糖質とは、炭水化物という栄養素のうち、食物繊維以外のものをまとめた総称です。炭水化物は、ごはん・パン・麺類・いもなどに多く含まれています。そのため、「低糖質ダイエット=主食を抜く」のイメージがあるようです。
糖質は、摂取すると体内でエネルギーを産生します。エネルギーは、私たちが動いたり、じっとしている間でも呼吸をしたり、臓器を動かしたりするために使われており、生きていくために必要なものです。けれども、摂りすぎると体内で脂肪に変えられて蓄えられ、体重が増えます。この糖質から摂取するエネルギーを控え、ほかにエネルギーを産生する脂質やたんぱく質などから摂取しましょうというのが、低糖質ダイエットの考え方のようです。 
低糖質?それとも低脂質?
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体重が増える原因は、体内に余分なエネルギーが存在していることにあります。単純に考えれば、エネルギー摂取量を減らせば体重は減るわけです。それならば、糖質に限らず、たんぱく質でも脂質でも、他のエネルギーを産生する栄養素を減らしてもよいはずです。それでも、低糖質ダイエットは他のダイエット食に比べて効果的なのでしょうか。それを調べるには、低糖質食と他のダイエット食の効果を比較する必要があります。
肥満の人たちを低糖質食と他のダイエット食(低脂質等の対照食)を摂取する群に分け、それぞれの群の体重変化を調べた結果をまとめた研究があります(文献1)。研究( A ~ S )ごとに、研究実施前後の体重の変化量を図1に示しました。どの研究でも低糖質群で体重の減少が見られます。ところが、対照食群でも体重は減少していて、低糖質群の結果とほとんど変わりません。これらの研究から、低糖質でも他のダイエット食でも、効果はほぼ同じであることが分かります。 -

図1. 低糖質ダイエットの効果(19 の研究のまとめ):研究実施前と比較した実施後の体重変化量を低脂質等の対照食群(青)と低糖質群(赤)で示しています。それぞれの研究期間は異なりますが、どのグループでも体重の減少が見られ、その効果に大きな違いはないことがわかります。
減らすなら摂りすぎている栄養素を
結局、摂取している栄養素の内容に関わらず、エネルギーをとりすぎれば太り、摂取を控えればやせるのです。
「肥満の原因にあった食事改善が大切です」
糖質にこだわる必要はなく、今自分が摂りすぎている栄養素を調べ、その栄養素を減らす方法の方が効果的で、体に必要な栄養素を誤って減らしすぎてしまうという危険性も低くなります。自分の食事を調べないまま、氾濫する情報に振り回されるのはもうやめましょう。素人判断は控え、栄養価計算ができる管理栄養士さんにご相談いただきたいところですが、現状の日本ではそのような場は多くありません。そこでみなさんに活用していただきたいのが「BDHQ」という質問票です。選択形式の質問に答えながら自分の食習慣を知ることができます。所要時間は約15分。1時間ほどで調査結果が分かります。
- 参考文献
- 1:Naude CE, et al. PLoS One 2014; 9 : e100652.
- 2:女子栄養大学出版、栄養と料理2017;83(7):117-121
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- ゆっくり食べようの真実は?
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ゆっくり食べようの真実は?
ゆっくり食べましょう、と聞いたことがある人は多いでしょうか。
そうするのがいいのは当たり前だと思われているかもしれません。
では、なぜゆっくり食べたほうがよいのか、言えるでしょうか?
実は、この問いに科学的根拠をもって答えられるようになってきたのは最近のことなのです。早食いと肥満の関係
早食いと関連がある健康状態として、肥満が知られています。図1は早食いと肥満の関連を成人で調べた結果です(文献1、2)。BMIはボディ・マス・インデックスという指標で、体重(kg)を身長(m)で2回割り算して計算される値です。身長の違いに関わらず肥満の度合いを調べることができ、25を超えると「肥満」とされます。この図から、食べる速さが「かなり遅い」群に比べて「かなり速い」群のほうが、BMIが大きく、特に中年男性では肥満の基準である25に近づいていることが分かります。
この理由のひとつとして、早食いの人はよく噛まなくても食べられるようなものを食べていて、それが肥満に影響している可能性があります。実際に、図1対象者のうち若年女性では、早食いの人ほど食物繊維摂取量が少ないことがわかっています(文献2)。そして、食物繊維が少ないことが、肥満になりやすい要因のひとつと考えることができます。-

図1.食べる速さと肥満の関連(成人)/食べる速さが速ければ速いほど肥満の指標であるBMIの値が高くなっています。この理由として、食べるのが速い人は、食物繊維などの肥満を防ぐ栄養素の摂取量が少なく、よく噛まずに食べられるものを食べている可能性が挙げられます。
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- BMI計算式(成人)
- BMI=体重kg÷(身長m)2
適正体重=(身長m)2×22
影響は子どもたちにも
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一方、大人だけでなく、子どもの肥満も深刻です。そして、食べる速さは子どもの肥満の出現率にも強く関連していることが、沖縄の小中学生を対象に行われた研究で明らかになっています。図2で示したように、食べる速さが「かなり遅い」子どもたちに比べて、「かなり速い」子どもたちの肥満の割合は、小学生も中学生も、男女ともに多くなっていて、とくに中学生男子では19倍となっていました(文献3)。この場合は大人と違って、食物繊維などの食事の内容には影響がないことが分かっています。
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図2.食べる速さと肥満の関連(沖縄の小中学生)/小中学生でも食べるのが速い子どもほど、肥満の割合が多くなっています。ゆっくり食べようのメッセージは、特に子どもたちに伝えるべきものなのかもしれません。
ゆっくり食べましょう
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早食いと肥満との、はっきりした因果関係はまだ解明されていませんが、統計からは「早食いの人ほど肥満の割合が高い」と見てとれます。 食卓に並べられた食べ物は、どんなふうに作られ、どのように料理され、どんな味がするのか、そんなことを語りながら目の前にある食事をゆっくりいただくことが、健康を守るひとつの秘訣なのかもしれません。さあ、みなさんのご家庭でも、ゆっくり食べるための食卓づくり、始めてみませんか。
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- 参考文献
- 1:1. Otsuka R, et al. Epidemiol 2006; 16: 117-24
- 2:2. Sasaki S, et al. Int J Obes Relat Metab Disord 2003; 27: 1405-10.
- 3:3. Murakami K, et al. J Nutr Sci Vitaminol(Tokyo) 2012; 58: 247-52.
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- 子どものころからの節塩のススメ
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子どものころからの節塩のススメ
「高血圧予防のためには減塩が重要」と聞いて
「歳をとって、血圧が上がってきたら減塩しなくっちゃ」と勘違いしている人はいませんか?
実は、若いときこそ塩のとり方に気を付けておく必要があるんですよ。血圧は若いときから上がっていく
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食塩の話を始める前に、年齢と血圧の関係を知っておきましょう。図1に、その関係を示しました(文献1)。男女とも年齢が上がると血圧が上昇していることが分かります。気を付けたいのは、30歳代、40歳代の若いうちからも、血圧は少しずつ上昇していることです。決して年をとってから急に上がるわけではないのです。
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図1.年齢と血圧の関係(文献1):誰でも年齢とともに血圧は上昇します。その上昇は若いうちから起こっていて、年を取ってから急に上がるわけではありません。
塩と血圧の本当の関係
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次に、食塩摂量と血圧の関係を知りましょう。先ほど説明したように、年とともに血圧は上昇していきますが、その上昇の度合いは食塩摂取量によって変わります。図2(文献2)からは、食塩摂取量が多いほど、1年後に上昇する血圧の値が大きくなっていることが分かります。もし食塩摂取量が1日あたりおよそ7gであれば、1年後に血圧は0.3mmHgくらい上がり、14gであれば血圧は0.7mmHgくらい上がることが読み取れます。
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図2.食塩摂取量と1年後の血圧上昇度(文献2):年齢とともに上がる血圧ですが、その上がり具合は、日々の食塩摂取量に影響を受けます。食塩をたくさんとる人ほど、1年後に上がるとされる血圧の値は高くなります。
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ここから30年後の血圧を予測してみましょう(図3)。図1の30歳代の男性が日本人男性の1日の食塩摂取量平均値である14g(文献3)の食塩摂取量を30年間続けると、60歳代になったときには黄の丸印まで上昇します。すでに高血圧の範囲に入っています。けれども、7gを30年間続けていれば、緑の丸印でとどまります。まだ正常の範囲内です。
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図3.30年後の血圧の変化
「節塩」がオススメ
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血圧を健康に保つためには、若いときから食塩の摂取を抑えた食事をすることが大切です。けれど、日本人の平均的な食塩摂取量は、高血圧を予防するためには少なくとも達成しておきたい目標量を超えています。そこで、多い食塩摂取量を減らす「減塩」よりも、多い人も少ない人も食塩を節約して少なく使う「節塩」がおすすめです。子どものころから、そして大人になってからも、「節塩」活動に取り組んでみてはいかがでしょう。
例)味噌汁を具だくさんにする。麺類のスープの量を少なめにする。
料理にダシをきかす。料理にお酢を使う。など -

- 参考文献
- 1:厚生労働省.第5次循環器疾患基礎調査.2010.
- 2:Intersalt study group.BMJ 1988; 297; 319-28.
- 3:Asakura et al. Br J Nutr 2014; 112: 1195-205.
-
- 高齢者のフレイル(虚弱)を防ぐ食事は?
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高齢者のフレイル(虚弱)を防ぐ食事は?
おじいさん、おばあさんが元気にくらしていることは、お孫さんたちにとってもうれしいことでしょう。
高齢者のみなさんが元気で過ごすための食事を考えるうえで、参考になる研究結果をご紹介します。フレイル(虚弱)とは
健康に長生きするためには、まずはフレイルの状態を予防することが勧められます。フレイルとは、高齢者に見られる、日常生活を送る上での運動機能の低下や、様々な健康障害が生じやすくなった状態のことです。歩く速さや握力の強さなどで判定されます(文献1)。
たんぱく質・抗酸化食品とフレイル
過去の研究では、たんぱく質や、野菜、果物、緑茶、コーヒーなどの抗酸化作用の高い食品(ここではまとめて抗酸化食品とよびます)を多く摂取する人でフレイルの割合が少ないという結果がありました(文献2、3)。また最新の研究(文献4)では、図1のようにたんぱく質と抗酸化食品の両方とも少ない食事をしている赤色の群の人たちに比べて、両方とも多い食事をしている緑色の群でフレイルの人の割合が非常に少なくなることが分かりました。この緑色の群の人たちがどのようなものを食べているか調べたところ(図2)、赤色の群の人たちに比べて、魚、豆、乳製品や、コーヒー、緑茶、野菜、果物などが多く、逆に清涼飲料水、米、菓子が少なくなっていました。
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図1.たんぱく質・抗酸化食品の組合せとフレイルの人の割合(文献4):たんぱく質と抗酸化食品の両方が最も少ない食事をしている赤色の群を1.0にしたときの各群のフレイルの人の割合を示しています。
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図2.たんぱく質・抗酸化食品の摂取量が両方とも多い人たちの食事の特徴(文献4):図1の赤色の群の摂取量を100%としたときの、緑色の群の人たちの摂取量を示しています。
いろいろな食材を楽しむことが秘訣?
これらの研究では食事からとる食品の影響しか検討できていないため、サプリメントなどからたんぱく質や抗酸化栄養素をたくさんとったときの影響は分かりません。そして、数少ない研究の結果だけで因果関係を断定することもできません。とはいえ、朝昼晩の食事では魚、豆、野菜を十分取り入れ、間食をとるならなるべく緑茶やコーヒーなどの飲料や果物などにしておき、毎日のようにお菓子や清涼飲料水をどっさりとるのは控えたほうがよさそう、という提案はできそうです。たったひとつの栄養素や食品に頼らず、日々いろいろな料理を食べようとするチャレンジ精神も、健康を保つのにきっと一役買うことでしょう。
- 参考文献
- 1:Fried, et al. J Gerontol A Biol Sci Med Sci 2001; 56; M146-56.
- 2:Kobayashi, et .al. Nutr J 2013; 12: 164.
- 3:Kobayashi, et .al. J Nutr Health Aging 2014; 18: 827-39.
- 4:Kobayashi, et .al. Nutr J 2017; 16: 29.
-
- 「食べるをはかる」が健康への第一歩
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「食べるをはかる」が健康への第一歩
仕事柄、「健康になるには何を食べたらよいですか?」「食べない方がよいものは何ですか?」
という質問を受けることがよくあります。
けれども、この質問に答えるのはとても難しいと感じます。あなたは何を食べていますか?
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それは質問された方が普段どの栄養素をどのくらい食べているのかが分からないためです。例えば、ある健康状態を保つためにどの栄養素をどのくらいとればよいのかに関しては「食事摂取基準」という基準値が定められています。けれども、図1に示してあるような基準値Xが存在したとしても、それだけでは質問された方の食事内容をどのように改善したらよいかは分かりません。基準値に加えて、その方の日常的な摂取量が分かったときに初めて、足りない量を増やす、取り過ぎている量を減らす、などの工夫をすればよいと分かります。ご自身の摂取量が分からない状態で「○○を食べればよい」「○○を減らせばよい」と答えるのは不可能なのです。
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図1.食事摂取基準の基準値と対象者の普段の摂取量が分かったときに初めて、基準値を満たすためにはどれくらい必要なのかが明らかになり、そのために何をすればよいのかを考えることができます。
「食べるをはかる」が改善につながる
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健康診断では、血圧や血中コレステロールの値をはかり、基準値よりも高いときには改善を促されます。けれども食事に関しては、食べているものをはからずに、「血圧を下げるためには減塩が大切です。ラーメンのスープは残しましょう。お漬物は食べないように。」などといった一般論で食事指導を受けることがあります。それよりも、図2のように食べているものを調べた(はかった)うえで「あなたの場合、血圧には減塩よりも節酒ですね。」などとポイントを説明してもらうほうが、効果的ですよね。
いくつかの地域生協では、この「食べるをはかる」の大切さに気づき、普段の食事を調べて食育にいかそうとする取り組みが始まっています。 -

図2.食事を調べた結果にもとづいた食事指導:普段の食事摂取量が分かれば、一般論ではない、その人に合わせた効果的な指導を実施できます。
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- 氾濫する健康情報に向き合うコツ
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氾濫する健康情報に向き合うコツ
世の中には健康に関する情報があふれていますね。
中には矛盾するものもあり、いったい何を信じたらよいのか混乱することも少なくありません。
私たちはこれらの情報にどう向き合えばよいのでしょうか。その情報の出典は?
情報の信頼性をはかるひとつの方法は、その情報の出典(雑誌や本の名前、ページ番号、著者名など)が書かれているかどうかを確認することです。その情報が科学的な根拠に基づいているかの指標になります。それがない「出所不明」の情報は、どの程度信頼できるのかも不明です。
誰にとって得する情報?
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とはいえ、たとえ出典があったとしても、うのみにしてしまうのはちょっと待ってください。その結果は情報発信者に都合のよいように改変されているかもしれません。たとえば、甘い飲料と肥満の関連に関しては、これまでにいろいろな研究で検討されていて、それらの結果をさらにまとめた研究も複数発表されています(文献1)。ところが図1のように、その研究の研究費の支出元によって、正反対の結論が示されていました。甘味飲料の企業からの研究費で行われた場合、6つのうち5つが甘味飲料と肥満の間に関連はないと結論づけていました。一方、企業ではなく、公的な研究費などで行われた場合、12のうち10の研究で甘味飲料は肥満と関連があると結論づけていました。甘味飲料の企業からの研究費をもらった研究者は、甘味飲料企業に不利な情報を出しづらかったのかもしれませんし、全く別の理由があるかもしれません。このような例もあることから、その情報で得をするのは誰かといった視点を持つことも、情報の見きわめには有効なようです。情報の発信者が得をするような情報の場合は、すぐに信用せずに、ほかの発信者の情報と比較してみたほうがよいでしょう。
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図1. 甘味飲料と肥満の関連を検討した複数の研究結果のまとめ:甘味飲料企業からの研究費で行われた研究の結果は、公的な研究費で行われた研究の結果と異なり、甘味飲料は肥満と関連がないとの結論が得られていました。

ヒト研究?論文発表?複数ある?
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さらに情報の中身までよく吟味して判断したいと思われる方は、図2のフロー(文献2)に従って判断するとよいかもしれません。ヒトを対象にしているか、学会発表か論文報告かなどの基準を使うと、現時点で受け入れられる情報というのは意外と少ないことに気づくかもしれません。
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図2. 健康情報の見分け方フロー図(文献2 表6-1改変):ここに示されている基準のみではその情報を受け入れるかを判断するには不足していて、その後さらに研究内容に関する基準に基づいた判断が必要です。受け入れられる情報はこれらの基準をすべて満たしたものだけだ、ということを知っておくだけでも、氾濫する情報に翻弄されずに済むかもしれません。
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ぜひ、今回ご紹介した方法を使って、氾濫する健康情報に向き合ってみてください。みなさんが情報を正しく判断し、健康な生活を送るために役立つことでしょう。
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- 参考文献
- 1:Bes-Rastrollo M, et al. PLoS Med 2013; 10: e1001578.
- 2:坪野吉孝「検証!がんと健康食品 健康情報の見分け方」河出書房出版社 2005(表6-1改変)
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