【相談】相続手続き!「相続税の申告・納付」にご注意を(税理士からのアドバイス)
ご家族が亡くなられた際には、役所への届け出、年金の手続き、公共料金の名義変更、クレジットカードの解約など、多くの手続きが必要になります。
中でも注意すべきは、「相続税」の申告・納付です。相続税には、相続開始から10カ月以内という申告・納付期限が定められており、その間に以下のような対応が必要です。
- 「相続財産」や「相続人」の特定
- 「遺言書」の有無の確認
- 相続人全員による「遺産分割協議」(必要に応じて)
- 相続税の計算、申告書類の作成
- 税務署への申告・納付
【不動産や有価証券も相続税の対象に】
もっとも、相続税には「基礎控除」があり、相続財産の総額が「3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)」を超えない場合、相続税は課税されず申告も不要です。
ただし、相続財産は現金や預貯金だけではなく、以下の資産も含まれます。
- 土地や建物などの不動産
- 自動車・貴金属・骨董品などの動産
- 株式・債券・ゴルフ会員権などの有価証券
一見すると基礎控除内に収まっているようでも、これらを含めると実際には控除額を超えている場合もあります。申告を怠ると追徴課税が課せられるリスクがあるため注意が必要です。
【税負担を軽減できる制度の確認を】
相続税には「基礎控除」のほかにも、税負担を軽減できる制度があります。代表的なものは以下の二つです。
- 「小規模宅地等の特例」:自宅や事業に使用していた宅地などについて、相続税評価額を最大80%まで減額できる制度です。
- 「配偶者の税額軽減」:配偶者が相続する場合、「法定相続分に相当する額」または「1億6,000万円」のいずれか多い金額までは相続税がかかりません。
これらの制度を利用するには、細かな条件があり、制度の内容を正しく理解し、適用できるかどうかを判断するためには、専門的な知識が必要です。
【二次相続も視野に】
相続は一般的に、父母それぞれが亡くなった際に2回発生します。このうち最初の相続を「一次相続」、その後の相続を「二次相続」といいます。
一次相続では、配偶者の税額軽減を活用することで、税負担を大きく抑えることが可能です。しかし、配偶者が亡くなった際の二次相続では、この軽減措置は使えません。さらに、相続人の数が減ることで基礎控除額も少なくなり、結果として全体の相続税が増える可能性があります。
相続税対策は、一次相続だけでなく、二次相続まで見据えることが重要です。ご夫婦ともにご健在なうちに、早めに準備されることをおすすめします。
【生前贈与も検討を】
生前に子や孫へ財産を贈与することで、将来の相続税負担を軽減できる場合があります。ただし、贈与には「贈与税」がかかるため、計画的な対策が必要です。
代表的な制度として「相続時精算課税制度」があり、60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子や孫に対する生前贈与に適用されます。
この制度では、以下の控除が適用されます。
- 基礎控除:年間110万円以下の贈与は非課税となります。
- 特別控除:基礎控除を除いた2,500万円までの贈与が一旦非課税となり、将来の相続税として精算されます。
この制度を利用することで、早い段階で財産を移転しつつ、相続税の負担をコントロールすることが可能になります。ただし、制度の仕組みは複雑で、適用には年齢や贈与対象者などの条件があります。利用を検討される際は、税理士など専門家への相談をおすすめします。
(税理士法人 あいち税経より)
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