【相談】成年後見は一度始めるとやめられない?法律が変わる?(弁護士よりのアドバイス)
2026/08/25
相談内容 
自宅が夫名義です。名義変更をしておきたいのですが、夫は認知症です。成年後見人をつける必要がありますか?また、一度選任すると自由にやめられないのでしょうか?最近、法律が変わったと聞きましたが?
アドバイス
認知症などで判断能力が低下すると、不動産の名義変更や預貯金の管理、相続手続きなどの法律行為を本人だけで行うことは難しくなり、原則として「成年後見制度」の利用が必要となります。
(各事情により対応が異なります。詳しくは弁護士などにご相談ください。)
●成年後見制度とは? 
成年後見制度は、判断能力が不十分な方を保護・支援する制度です。
本人の判断能力の程度に応じて、家庭裁判所が「成年後見人」「保佐人」「補助人」を選任し、財産管理や契約の手続きなどを支援するほか、不利益な契約を取り消して本人の権利と財産を守ります。ただし、利用にあたっては次のような点に注意が必要です。
- 後見人には、家族が選ばれるとは限りません。
弁護士や司法書士などの専門職が選ばれることがあり、その場合は報酬を支払う必要があります(報酬は、裁判所が決めた額が本人の財産から支払われます)。 - 一度利用を始めると、途中でやめることはできません。
現行制度では、原則として本人の判断能力が回復するか死亡するまで、制度を終了することができません。不動産の名義変更を目的に後見人を選任しても、手続き終了後に制度だけをやめることは難しく、専門職後見人が選任されている場合には報酬負担も続きます。
●2026年の民法の改正
「一度利用すると終身にわたり続く仕組み」は、利用者や家族の負担が大きいとして、以前から見直しを求める声がありました。こうした声を受けて、2026年6月24日、成年後見制度の見直しを盛り込んだ改正民法が公布されました。
改正の特徴は、「一度利用したら原則として生涯続く後見」から、「必要なときに必要な範囲で利用する後見」への転換で、施行は公布後2年6か月以内とされています(2028年度中には施行されると思われます)。
また併せて、本人手書きの必要があった自筆証書遺言作成の負担軽減などを目指し、パソコンやスマホで作成できる「デジタル遺言」も創設されました。
●主な変更点 (新しい制度は、まだ利用できません。)
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利用目的が達成され支援の必要性がなくなった場合、家裁の判断により制度を終了できるようになります。
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本人の判断能力の程度によって画一的に区分していた3類型は、「補助」に一本化され、本人の状況に応じて必要な支援内容を個別に決める仕組みとなります。
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判断能力を常に欠く場合は、補助人に幅広い取消権を与える「特定補助」の制度も導入されます。(1~3は、公布後2年6か月以内に施行されます。)
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現行の自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言に加え、本人がパソコンやスマホなどで作成した遺言(データやプリントアウトしたもの)を法務局が保管する「保管証書遺言」が新設されます。(公布から3年以内に段階的に施行されます。)
●まとめ
認知症などで判断能力が低下すると、
不動産の名義変更などの法律行為を行う際、原則として成年後見制度の利用が必要になります。現行制度では終身利用が前提でしたが、改正民法の施行後は、必要な期間や支援内容に応じて利用できる仕組みとなります。
なお、既に成年後見制度などを利用している場合は、現行制度を継続することも可能です。一方、新制度への移行を希望する場合は、家庭裁判所への申立てが必要です。
詳しくは、生協の無料法律相談などで専門家にご相談ください。
(名古屋第一法律事務所より)
→【参考】民法等の一部を改正する法律 法務省
→【参考】認知症への対応(成年後見、任意後見制度、家族信託など) 名古屋第一法律事務所