お知らせ

2025.10.23
お知らせ

【相談】「離婚するか迷っています。いろいろと不安で・・・」 (弁護士からのアドバイス)

1,はじめに

 離婚はどの夫婦にも起こりえる可能性があります。原因はパートナーの浮気や暴力などに限らず、性格の不一致や姑との折り合いなど、夫婦によって様々です。
 離婚を現実的に考えるようになったとき、戸惑いや不安を感じるのは自然なことです。そんな時、離婚に際して、決めておくべきことや流れを事前に知っていれば、少しは不安が解消されるのではないでしょうか。


2,離婚に向けての手続きの流れ

 ①「夫婦間の話し合い(協議離婚)」

 夫婦間で直接話し合い、離婚についての合意が成立すれば、役所に離婚届を提出することにより「協議離婚」が成立します。

 ②「離婚調停」

 話し合いで解決できない場合は、家庭裁判所に「夫婦関係調整調停」を申し立てます。調停では、二人一組(男女各1名ずつ)の調停委員が仲介してくれますので、合意が成立しやすくなります。原則として本人出席が必要ですが、夫婦は別々の待合室で待機するので、通常は顔をあわせることはありません。

 ③「離婚訴訟」

 調停でも解決できない場合は、家庭裁判所に「離婚訴訟(=裁判)」を起こすことになります。弁護士が代理出席することもできますが、本人尋問や和解の場には、本人の出席が求められます。


3,法律上の離婚要件(訴訟の場合)

 協議離婚や離婚調停では、夫婦双方の合意で離婚可能なため、法律上の離婚要件は不要です。しかし、相手が離婚に反対している離婚訴訟においては「法定離婚事由」が必要になります。

  • 配偶者に不貞な行為があったとき
  • 配偶者から悪意で遺棄されたとき(同居・扶養の義務を果たさない)
  • 婚姻関係が破綻して回復の見込みがないとき など

 以上のような要件が定められており、性格の不一致や生活スタイルの違いだけでは離婚が認められないことがあります。


4,離婚前にすべきこと

 ①婚姻費用の請求

 たとえ別居中であっても、夫婦には互いに扶助する義務があるため、収入の多い配偶者に対して、相手と同程度の生活を維持するための生活費:「婚姻費用」を請求することができます。住居費や食費など、日常生活に必要な費用の他に、子どもを育てていれば「養育費」を含みます。請求できる期間は、離婚が成立するまで、または同居を再開するまでです。

 ②経済的な見通しの確認

 学齢期の子どもを抱えて離婚すれば、経済的困難に陥るケースが多く見られます。成人していても障がいなどで経済的に独立できない子の場合も同様です。
 離婚前に、養育費の見込み額や利用できる公的支援、実家の援助の可能性などを、しっかり確認しておきましょう。場合によっては、別居はするものの、離婚は先延ばしにして婚姻費用を受け取り続ける選択もあります。

 ③DVがある場合

 DV(ドメスティック・バイオレンス)は、身体的暴力だけではありません。性的暴力、経済的暴力、精神的暴力も含まれます。これらの被害がある場合は、離婚を検討する前に、まず身の安全を確保することが最優先です。
 緊急時は迷わず110番へ通報を。警察相談専用電話(#9110)や愛知県女性相談支援センター(052-962-2527)で相談することもできます。


5,離婚の際に決めておくこと

 ①子どもに関すること

  • 「親権者」の決定:未成年の子がいる場合は、親権者の決定が必要です。(26年5月24日までには共同親権も可能になります。詳しくは➡ )  

  • 「養育費」の取り決め:養育費は「子どものための費用」です。積極的に決めましょう。

  • 「面会交流」のルール:面会交流は、離れて暮らす親が、離婚後も子どもと定期的に合うことです。「子どもの福祉」ためにも、具体的なルールを取り決めておくことをお勧めします。

 ②お金・財産に関すること

  • 「財産分与」:婚姻中に夫婦が協力して形成した財産(夫婦共有財産)を二人で分けることです。結婚前から所有していた財産は、「特有財産」として対象になりません。

  • 「慰謝料」:離婚原因に相手方の浮気や暴力行為などがあった場合は、慰謝料の支払いを 請求できます。

  • 「年金分割」:婚姻期間中に支払った厚生年金保険料を、離婚時に分け合う制度です。特に専業主婦の方にとっては、将来の年金額に影響するため、必ず検討しましょう。


6,その他

 ①養育費の未払い対策

 養育費が支払われない場合は、家庭裁判所に「養育費請求調停」を申し立てることが有効です。調停調書などに支払い内容が記載されていれば、家庭裁判所が履行勧告を行います。それでも支払いがない場合は、給与や預金の差し押さえなど法的手続きをとることも可能です。

 ②経済的に自立できない子のために

 成人していても障がいなどで経済的に独立できない子の場合、経済的困難に陥るケースがあります。
 参考となる判例として、「成人でも、自己の資産または労力で生活できる能力のない場合は『未成熟子』として扱われ、婚姻費用の算出に考慮される場合がある」との決定があります。婚姻費用や養育費への加算ができる可能性があるため、専門家とご相談ください。


 離婚には多くの法的・経済的な判断が伴います。まずはお気軽に、コープあいち組合員向けの無料法律相談をご活用ください。

                       (名古屋第一法律事務所より)



離婚や相続、後見、消費者トラブルのご相談は「くらしの相談室」へ、お気軽にご相談ください。(電話052-781-6176)

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